2019 Fiscal Year Annual Research Report
骨再生医療を用いた新規矯正歯科治療法の開発;上顎洞に関わる医原性歯根吸収への警鐘
Project/Area Number |
19K21364
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大石 修史 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (50822532)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 矯正歯科 / 歯根吸収 / 上顎洞 / CBCT |
Outline of Annual Research Achievements |
矯正歯科臨床における歯の移動は、医原性の歯根吸収リスクを伴う。特に、解剖学的に内部に骨がなく骨リモデリングがその外壁でしか起きないため、歯根の移動の障壁となると考えられる上顎洞については、歯周組織のリモデリングや歯根の移動量の限界など不明な点が多い。一方、近年では歯科用cone beam computed tomography(CBCT)の普及に伴い、上顎洞内の歯根の移動を3 次元的に評価した症例報告が散見されるが、その安全性・再現性については議論の余地が残る。そこで本研究では、基礎研究として歯科矯正力による歯の移動モデル(OTM モデル)を使用し、上顎洞内における歯の移動に伴う歯根および歯周組織の変化を評価する。さらに臨床研究として、CBCT により得られる患者の3次元データ解析を行い、歯の移動パタンと歯根吸収の関係を明らかにする。将来的には、基礎および臨床研究から得られた結果を相互にフィードバックし、歯の安全かつ再現性の高い 移動方法を確立する。 現在での研究実績として、基礎研究ではOTMモデルを確立し、矯正力による歯の移動に伴う上顎洞周囲組織の形態学的・組織学的評価を比較検討を行っている。また、上顎洞内の歯の安全な移動の可否についてだけでなく、慢性上顎洞炎や歯性上顎洞炎といった炎症性疾患を伴う患者に対しても、安全な矯正歯科治療を行えるか明らかにするため、新たな実験モデル(炎症性疾患モデル)を作製した。 臨床研究では、矯正歯科治療前の被験者301 名(男性76 名、女性225名)のCBCT データをもとに、4778 本の歯根と上顎洞との関係を解析し論文として報告した。平行して、矯正歯科治療終了時のデータの蓄積も進み、治療終了時のCBCT データの解析を開始した。
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