2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H06283
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森田 麻友 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30624639)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 骨代謝 / 顎骨壊死 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎骨壊死動物モデルは、これまでにも報告されてきたがその多くは薬剤に焦点を当てた研究である。骨吸収抑制剤は全身投与にも関わらず、顎骨にしか壊死が起きないという観点から、薬剤だけでなく口腔内常在菌による感染が発症に寄与していることが予想される。そこで本研究では、アレンドロネートと菌により骨壊死がどのように行われているのか、解析をすすめている。in vivoにおいて、野生型マウスにアレンドロネート1mgを週1回投与し、投与開始2週間後にマウスの大腿骨骨髄内にMSSAを投与しボーンワックスを用いて骨髄内に生菌をとどめた。大腿骨皮質骨のHE染色では、術後5日よりempty lacunaeがみられ、術後1週間では全ての症例でおおよそ60-70%のempty lacunaeが確認された。菌のみの投与でも骨壊死を認めたが、菌量を少なくすると、PBSを投与したコントロール群と比較し、アレンドロネート投与群でempty lacunaeが多く認められたことから、アレンドロネートが骨壊死を増悪することが示唆された。菌投与後3日目の皮質骨の免疫染色では、骨小腔内の骨細胞にTUNEL陽性を認めた。そこで細胞のアポトーシスを誘導する因子として、TNFαに着目し解析を行った。骨髄中のマクロファージのマーカーであるF4/80とTNFαの二重免疫染色の結果より、マクロファージの産生するTNFαが骨壊死を誘導している可能性が考えられた。次に、TNFαKOマウス群を用い同様の実験を行ったところ、野生型マウスと比較し有意差をもって骨壊死を抑制した。本研究では、よりヒトと病態を近づけるために、マウスの歯を抜歯した上で菌をとどめ、顎骨においてもこれまで大腿骨で起きていた骨壊死がみられるか研究を進めている。またヒト検体を用いて、TUNEL、TNFα、F4/80の免疫染色を行ったところ、マウスと同様の結果がみられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
顎骨壊死モデルとして、これまでマウスの大腿骨骨髄内にMSSAを投与しボーンワックスを用いて骨髄内に生菌をとどめていたが。マウスの歯を抜歯した上で菌をとどめることで、よりヒトの顎骨壊死モデルとして病態を近づかせることができると考える。マウスの歯を抜歯する際に、ヒトと比較し歯が非常に小さいことより、顎骨も一緒に破壊してしまい、手技的に非常に困難であると思われたが、解析できる状態まで手技が安定してきた。また、ヒト検体を用いて、TUNEL、TNFα、F4/80の免疫染色を行ったところ、マウスと同様の結果がこれまでみられている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト検体を用いての解析は、外科的切除の適応が限られているためこれまでの報告も少ない。そこで、ヒト検体を用いて、TUNEL、TNFα、F4/80の免疫染色をはじめ、その他の炎症性サイトカインの発現など、件数を増やし解析を進めていきたいと考えている。 また、今後、マウスの抜歯モデルをより確立させ、実際の病態に近いモデルを用いて菌による骨破壊性疾患の分子メカニズムの解明を行なっていく。
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