2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K21372
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森田 麻友 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30624639)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔顎顔面外科領域では口腔内疾患の多くに骨吸収や骨破壊、骨欠損の合併症が認められる。ビスフォスフォネート製剤などによる骨吸収製剤をの副作用である顎骨壊死もそのひとつである。申請者はビスフォスフォネート製剤を投与したマウスを用い、ブドウ球菌接種による感染性骨壊死マウスモデルを作製した。モデルマウスでは、IL-1,IL-6,IL-17,TNFα などの炎症性サイトカインが、骨壊死の発生や破骨細胞を介した骨破壊を引き起こすことを明らかにした。しかし、口腔内の常在菌でも、同様のメカニズムでビスフォスフォネート製剤投与下に骨壊死を起こし得るかは明らかではない。申請者らはビスフォスフォネート製剤投与下にマウスの歯を抜歯することで骨壊死を起こすモデルを新たに樹立することに成功した。 そこで本研究では、このより実際の病態に近いモデルを用いて常在菌による骨破壊性疾患の分子メカニズムを解明し、新たな治療方法の確立を目指す。ビスフォスフォネート製剤をはじめとする骨吸収抑制剤は、顎骨壊死を起こすことが分かっているが、その原因や治療法は未だ解明されていない。現在のところ口腔内衛生状態を良くすることがガイドラインとして定められているが、口腔内衛生状態が良好な場合でも骨壊死を起こすこともある。また、骨吸収製剤は全身投与にも関わらず、顎骨にしか起こらないという顎骨の特異的なのはなぜか、また、その骨壊死に陥るメカニズムはどのようなものかを解明するために申請者は、動物モデルを用いて解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アレンドロネートを投与し、大腿骨内にMSSA菌を投与した野生型マウスは、アレンドロネートを投与せず細菌のみの投与を行ったマウスと比較して、感染性骨髄炎組織における炎症性サイトカインIL-1β、IL-6、IL-17aおよびIL-17fの有意な増加をすでに確認し、その再現性もとることができている。 ビスフォスフォネート製剤投与下にマウスの臼歯を抜歯することで、骨壊死を発生させるマウスモデルも再現性が高く、その病理組織学的解析をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨細胞のアポトーシスを誘導している原因について、研究を進めていく方針である。また、これらの炎症性サイトカインが、相互にどのように骨壊死を代表とする骨破壊性疾患を引き起こすか、そのカスケードの解明をおこなう予定である。
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