2018 Fiscal Year Annual Research Report
生体材料の三次元的表面構造の違いが間葉幹細胞の分化に与えるメカニズムの解明
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18H06285
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
加我 公行 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50824083)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノパターン / ナノインプリント / Cell culture / チタン / PLGA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、数種のマイクロナノパターンを持つチタンシート及びPLGAシートを調製し,骨芽細胞様細胞Saos-2とヒト歯肉上皮系細胞Ca9-22の接着・増殖能の比較検討を行った. 熱ナノインプリント法にて、GrooveおよびPillar構造を持つチタンシートとPLGAシートを作製することができた。パターン化シート上にてSaos-2とCa9-22を播種し、 SEMにて形態観察,光学顕微鏡にて細胞接着数の算出を行った。また蛍光顕微鏡にて接着斑の観察を行った。 Saos-2において、1時間、24時間、5日後でGroove及びPillar構造を付与することにより、パターンを付与していない面と比較し細胞付着数は増加した。一方で、Ca9-22においては、Groove及びPillar構造を付与することにより、細胞接着数は減少した。特に、Pillar上では細胞の増殖が認められなかった.細胞の形態は、Saos-2とCa9-22ともにSmoothでは四方へ伸展するがGroove上では溝に沿って一部の細胞の配向が観察された。Saos-2は,Pillar上ではPillar構造に接着する仮足が観察された.細胞培養24時間後に,接着斑であるvinculinの定量した結果,vinculinの数は細胞接着数と類似したデータが得られた.骨芽細胞では、マイクロ・ナノパターンを付与することで細胞接着数は時間軸とともに増加したが、上皮細胞においては、Pillar構造を付与することで細胞増殖を抑制する可能性が示唆された。骨芽細胞および上皮細胞における細胞接着ならびに接着斑に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PLGAシートへのマイクロ・ナノパターン付与の設定条件に時間を取られた。PLGAシートの厚みを0.2 mmとし、パターンのサイズを500nm、1μm、 2μm と条件の見直しを行い、Groove及びPillar構造を持つPLGAシートの調整を行った。また、動物実験によるマウスの未分化間葉幹細胞での実験にまで至ることができなかったため、マウス由来間葉系幹細胞を使用し、細胞培養実験を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
各生体材料の細胞接着に及ぼす影響についてタンパクレベルでの解析を進め、骨芽細胞や上皮細胞の接着や増殖に有利なパターンを見いだすとともに、パターン化PLGAシートの安定化を検討する。さらに、生体材料の三次元的表面構造が細胞分化にどのように影響するのかを検討し、生体材料の表面性状と表面形状がそれぞれ、間葉系幹細胞の分化に与えるメカニズムを解明する。合わせて、パターン化生体材料表面へ、Bio-activeな材料であるS-PRGを修飾し、骨誘導能力の有無を検討する。課題として、チタンシートでは問題ないが、PLGAシートは培地中に長期間浸漬すると溶解しやすいため、材料の安定化を検討する必要がある。
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Research Products
(2 results)