2018 Fiscal Year Annual Research Report
FGF-2徐放性接着性レジンの臨床応用に向けた包括的検討
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18H06292
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
壷井 莉理子 大阪大学, 歯学研究科, 特任助教(常勤) (20827430)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 接着性レジン / FGF-2 / 非生体分解性 / ポリマー粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、粒形の異なる3種のFGF-2担持粒子を作製し、各粒子からのFGF-2溶出性を評価した。 HEMAとTMPTを重量比で90:10の割合で混和し、重合した硬化体を粉砕して平均粒径270、98、および8.7 μmの3種のポリマー粒子を作製した。作製した各粒子にFGF-2を担持させ、凍結乾燥処理を施し、FGF-2担持粒子を得た。得られた各粒子を滅菌蒸留水に浸漬し、溶出液中のFGF-2溶出濃度をBCA比色法により定量したところ、粒径が小さいものほどFGF-2の溶出量が多くなることが分かった。 つづいて、平均粒径8.7 μmのFGF-2担持ポリマー粒子を市販の4-META/MMA系接着性レジンであるスーパーボンド(サンメディカル、以下SB)の粉材に対して0, 10, あるいは30 (wt)%の割合で添加し、モノマー液、キャタリストと共に混和して、直径5 mm、厚さ0.5 mmのレジン硬化体を作製した。得られた硬化体から溶出するFGF-2濃度を粒子からの溶出試験と同様にして測定したところ、FGF-2担持ポリマー粒子を10および30 (wt)%添加したレジン硬化体からのFGF-2溶出は、いずれも2週間持続することが確認された。 また、FGF-2担持粒子を10および30 (wt)%添加したレジン硬化体存在下で骨芽細胞様細胞であるMC3T3-E1細胞を培養し、MTTアッセイにより細胞増殖を評価したところ、粒子を含まないSBのみの場合やFGF-2非担持の粒子を添加した場合に比べて、MC3T3-E1細胞の増殖が有意に促進されたが、粒子の添加量の違いによる細胞増殖効果の違いは認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究実施計画に則り、小粒径のポリマー粒子を作製し、各粒子からのFGF-溶出性評価を行い、さらに、粒子を接着性レジンへ添加して、レジン硬化体からのFGF-2の溶出および骨芽細胞様細胞に対する増殖促進効果を評価したところ、前述のような結果が得られた。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に得られた結果に基づいて、粒子の添加率の異なる試作レジンを作製し、試作レジンの物性、およびラット頭蓋骨欠損モデルを用いた組織再生誘導効果についての検討を行う。
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Research Products
(1 results)