2019 Fiscal Year Annual Research Report
FGF-2徐放性接着性レジンの臨床応用に向けた包括的検討
Project/Area Number |
19K21380
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
壷井 莉理子 大阪大学, 歯学研究科, 特任助教(常勤) (20827430)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 接着性レジン / 非生体分解性 / ポリマー粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、平成30年度に得られた成果に基づいて、ポリマー粒子の添加率の異なるレジンを作製し、試作レジンの物性を評価した。 HEMAとTMPTからなる平均粒径8.7 μmのポリマー粒子を市販の4-META/MMA系接着性レジンであるスーパーボンド(サンメディカル、以下SB)の粉材に対して0, 10あるいは 30 (wt)%の割合で添加し、モノマー液、キャタリストと共に混和して試作レジンとした。2×2×25 mmのレジン硬化体を作製し、試作レジンの曲げ強さを評価したところ、添加率の異なるいずれの試作レジンにおいても硬化体は破断せず、最大応力に差は認められなかった。また、7日間水中浸漬後の硬化体においても同様の結果が得られた。 つづいて、試作レジンのウシ象牙質に対する接着強さを評価するため、ウシ下顎切歯の象牙質面に試作レジンを用いて直径3 mmの金属ロッドを接着させ、24時間水中浸漬後にせん断接着強さを測定した。その結果、ポリマー粒子を10および30 (wt)%添加した試作レジンはともに、粒子非添加のSBと同等の接着強さを示すことが確認された。 また、試作レジンの硬化時間を評価するため、示差走査熱量測定法を用いて硬化温度がピークとなる時間を測定したところ、粒子の添加量が多いほど硬化時間は短縮した。一方、吸水量、溶解量はともに、粒子添加率が高いほど増加する傾向にあった。ただし、粒子添加率が30 (wt)%の試作レジンにおいても、硬化時間および吸水・溶解性はISOに定められた歯科用接着性レジンセメントの規格に適合することが分かった。 以上の結果から、本FGF-2担持ポリマー粒子配合レジンは接着性レジンとして十分機能する物性を備えていることが確認された。
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