2019 Fiscal Year Annual Research Report
機械的受容体シグナルの再生医療研究および新規再生医療への応用
Project/Area Number |
19K21381
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
杉本 明日菜 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (80823830)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | PIEZO1 / 圧受容体 / 間葉系幹細胞 / 分化運命決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞は再生医療の細胞ソースとして期待されており,その分化運命決定機構の解明は,新規の再生医療の技術開発への足掛かりとなる。本研究では骨髄や歯髄中に含まれる間葉系幹細胞の新規の分化運命決定機構について解明し,その新規応用法の開発を目指すことが目的である。 これまで,加圧刺激により間葉系幹細胞の骨芽細胞系細胞への分化が誘導されることに着目し,その分化機構について解析を行ってきた。その中で骨髄や歯髄中に,圧受容体として働くカルシウムイオンチャネルであるPIEZO1が高く発現していることを認めた。これまでに加圧刺激やPIEZO1の活性化により,ERKがリン酸化し,硬組織形成に重要なBMP2が誘導されることを明らかにし,PIEZO1が間葉系幹細胞の骨芽細胞系細胞への分化運命決定に関与する可能性を見出した。 本研究期間において,さらなる分子メカニズムの解明を進めるべく,PIEZO1のC末端に存在するRRas結合領域に注目した。Rasシグナルタンパク質は様々なシグナル伝達に関わっているが,その下流でMAPキナーゼ経路を活性化することが知られている。Rasを阻害することにより,PIEZO1を活性化した時にみられるERKの活性化が抑制される結果を得た。このことより,PIEZO1を介した間葉系幹細胞の骨芽細胞系細胞への分化メカニズムに,Rasタンパク質が関与する可能性が示唆された。さらにカルシウムイオンがPIEZO1の活性化によって起こる細胞内シグナルの活性化に関連することを示唆する結果が得られた。これについては現在,確認中である。今後もPIEZO1のシグナル分子メカニズムを解明することで,間葉系幹細胞の分化決定機構を明らかにし,その機構を応用することで再生医療への技術開発を進めたい。
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