2019 Fiscal Year Annual Research Report
Sox21-アメロブラスチン共役におけるエナメル芽細胞の分化制御機構の解明
Project/Area Number |
19K21390
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 知子 東北大学, 大学病院, 医員 (00821836)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の発生メカニズムを明らかにするために、歯のエナメル質形成に関与するアメロブラスチン(AMBN)とSox21の役割解明を試みた。この背景として、これまで我々は、AMBNのノックアウトマウス(AMBN-KO)を作製、解析し、重度のエナメル質形成不全を有することが分かったことが挙げられる。また、SOX21ノックアウトマウス(Sox21-KO)も、AMBN-KOマウスと同様に、エナメル質形成不全歯を有することも判明した。本研究では、エナメル質形成不全歯を有するAMBN-KOとSox21-KOを交配しダブルノックアウトマウス(W-KO)を作製し、これらのマウスの表現系を比較検討することをで、AMBNとSox21の相互関係を解明することを目的とした。 表現系解析としては、野生型マウス(WT)と比較した所、AMBN-KO、Sox21-KO、W-KOすべてにエナメル質形成不全が認められた。SEM解析の結果、WTと比較し、エナメル質の表面構造はAMBN-KO、Sox21-KO、W-KO全てで粗造であった。エナメル質の厚みは、W-KOで著しく減少し、AMBN-KOおよびSox21-KOでも減少を認めた。EDX解析を行った結果、AMBN-KOでは、カルシウムやリンなどの無機物の含有率が増加し、炭素などの有機物の含有率が増加した。Sox21-KOでは無機物の含有率が減少し、有機物の含有率が増加した。W-KOでは、有機物と無機物の含有率は、AMBN-KOとSox21-KOの中間となった。 これらのことから、AMBN-KOでは分泌期のエナメル芽細胞の活性が低下したことによるエナメル質形成不全(低形成型)が、Sox21-KOでは成熟期のエナメル芽細胞の活性が低下したことによるエナメル質形成不全(低石灰型)が生じた可能性が示唆された。
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