2018 Fiscal Year Annual Research Report
インプラント治療のための新規骨質評価方法と骨質コントロール
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18H06309
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉岡 洋祐 岡山大学, 歯学部, 客員研究員 (00827933)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | ラマン / PTH / 酸化ストレス / AGEs / RAGE |
Outline of Annual Research Achievements |
顎骨にインプラント体を埋入後,ビスフォスフォネート製剤または副甲状腺ホルモン製剤(PTH)の投与がインプラント体周囲骨の骨質に及ぼす影響を明らかにすることを目標とした.今までの研究でPTH投与により,下顎新生骨において骨質の劣化を認めたが,そのメカニズムについては明らかとしていなかった.インプラント体の設計,製作が計画通り進行していないことに加えて,インプラントを用いた研究にPTHを応用する前にPTHが骨質の劣化を引き起こしたメカニズムの解明が必要となり本年度はその解析を行った. Wistar雌ラットに卵巣摘出を施し,下顎枝に貫通孔を作製した.貫通孔作製1日後よりPTH群,OVX群に分け,PTH30μg/kgまたは生理食塩水を連日1日1回皮下投与した.初回薬剤投与21日後に血液,下顎骨を採取した.血清にて酸化・抗酸化バランスを解析し,下顎骨は組織学的解析を行った.PTH群の血清では抗酸化力の低下に伴う酸化の亢進を認めた.組織学的解析にてPTH群の新生骨に終末糖化産物の受容体であるRAGEの発現を顕著に認めた.酸化ストレスは終末糖化産物(AGEs)の産生,その受容体(RAGE)の発現を促進させることで,アパタイトの成熟の阻害,コラーゲン構造の脆弱化を引き起こすことが知られている.PTH投与による骨質劣化のメカニズムとして抗酸化力の低下に伴う酸化が下顎新生骨上のRAGEの発現を促進させたことに起因する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットに埋入予定であるインプラント体に適切な形態を付与するためにオーダーメイドで作製予定であるが,製作可能な構造設計に時間を要していることで進渉がやや遅れている.加えて,PTH投与をインプラント体埋入後の骨質コントロールに応用予定であったが,PTHの下顎新生骨骨質に及ぼす影響のメカニズムについては明らかとしていなかったため,その解明に時間を要している.
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Strategy for Future Research Activity |
インプラント体の設計,製作を継続し,同時にPTHが骨質劣化を引き起こすメカニズムについても精査を続けていく.そのメカニズムとして本年度の研究にてPTH投与による酸化の亢進が下顎新生骨における骨質劣化を引き起こした可能性が示唆されたため,PTH投与時に酸化の制御を併行することで下顎新生骨の骨質向上が期待できる.そのため,PTH投与時の下顎新生骨の酸化の制御方法も検討する.
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