2018 Fiscal Year Annual Research Report
流体解析を用いた口唇口蓋裂児の鼻腔通気障害改善方法の確立
Project/Area Number |
18H06312
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伴 祐輔 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (60827294)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 口唇口蓋裂 / 流体解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究概要:これまで口唇口蓋裂児の歯科的対応は審美的な側面、咀嚼などの機能的側面を中心に行われてきた。 しかし、申請者は呼吸の面から口唇口蓋裂に着目し、その成果を示す。 片側性口唇口蓋裂児はアデノイド肥大を認める症例が多く、咽頭気道が小さいことが示された。また、流体解析を行ったところ、最大圧力、最大速度、鼻腔抵抗値が大きかったことから、鼻腔通気障害が生じていることが示された。その原因として、患側に鼻中隔が湾曲していることで患側の鼻腔断面積が小さくなり、鼻腔抵抗が大きくなったと考えられた。 また、上顎急速拡大を行うことで、患側の鼻腔断面積が特異的に大きく拡大された。これは患側が minor segmentであるため、顎整形力がより大きく作用したためと考えた。その結果、片側性口唇口蓋裂児の最大圧力、最大速度、鼻腔抵抗値が軽減したことから、鼻腔通気障害が改善することを示していた。 本研究は正常な小児の場合発症頻度が2%とされる閉塞性睡眠時無呼吸症候群が、口唇口蓋裂児では30%から50%と非常に高く、その原因が鼻中隔湾曲による鼻腔通気障害に起因することを強く示す結果となった。さらに、その治療方法として、上顎急速拡大の有効性を示すことができた。このことは、一般に鼻中隔湾曲を改善するには外科的手術が必要になるが、その侵襲による、その後、著しい成長抑制のため、成人にしか適用されない。そのため、小児で鼻中隔湾曲を認める場合、これまで治療方法の選択ができなかったが、非侵襲的な方法として上顎急速拡大を発案できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在CBCTデータの収集は終了し、流体解析を行っている。 研究計画としては順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、日本小児歯科学会での発表、外国語論文の投稿を目標に研究を進めて行く予定である。
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