2018 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節部の器質的変化を起点とする“筋-腱-骨複合体”の病態解明へ向けた基盤研究
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18H06316
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
廣内 英智 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (00822537)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 筋-腱-骨複合体 / TMJ Osteoarthitisモデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、顎関節部における筋の骨への付着部を『筋-腱-骨複合体』として1つの機能的単位として捉え、下顎骨の病的な器質的変化が外側翼突筋やその腱へどのような影響を与えるのかを明らかにすることである。すなわち、脳科学や咬合学ならびに形態学に主眼を置いた一般的な顎関節症の発症メカニズム解明の着眼点や概念を覆し、『筋-腱-骨複合体』の器質的変化が顎関節症の発症に深く関与することを明らかにする。この点が大きな特色であるといえる。また、『筋-腱-骨複合体』の器質的変化と開口障害の関係性は、これまで誰も解明したことのないことであり、この仮説の立脚に新規性があると考えている。 そこで我々は今年度、正常マウスの関節円板を人為的に除去することにより、TMJ Osteoarthitisモデルマウスの作出し実験に供した。その結果、関節円板の除去後12週に骨の微細な病的変化が開始することが明らかになった。さらに同時期に下顎頭に付着する外側翼突筋やその腱にも器質的変化が生じていた。すなわち、下顎頭(術後12週)→腱-骨接合部→腱→筋-腱接合部→外側翼突筋の順に器質的変化が生じ、最終的には顎関節の『筋-腱-骨複合体』全体に病的な変化が起きる可能性が本年度の研究で示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常マウスの関節円板を人為的に除去し、TMJ Osteoarthitisモデルマウスを作出した。関節円板の除去後12週と20週で観察した結果、3つの事象が生じた。①残存した関節円板は外側翼突筋に牽引され前方に移動し、②除去した関節円板が有していたスペースは、側頭骨と下顎頭の癒着により消失していた。③関節円板に停止部として付着していた外側翼突筋上頭の剥離が認められる。 以上3つの事象の病態を明らかにするために、今後は各種タンパクの経時的局在について免疫組織化学的染色法を用いて明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、関節円板を除去することで、関節円板に停止部として付着していた外側翼突筋上頭の腱が下顎骨から剥離する事が認められた。この病態を明らかにするために、2019年度は腱細胞ならびに筋線維の組織学的解析(免疫組織化学的染色法を用いた検索)を推進する。
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