2019 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節部の器質的変化を起点とする“筋-腱-骨複合体”の病態解明へ向けた基盤研究
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19K21402
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
廣内 英智 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (00822537)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋-腱-骨複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
外側翼突筋は停止部において下顎頭だけでなく関節円板にも付着し、顎運動にとって重要な機能を担っている。また筋付着部では筋線維束が発揮する機能によって、様々な付着様式を呈することが知られている。下顎頭、関節円板、外側翼突筋などそれぞれの組織の発生学的研究はみられるものの、この重要な機能的単位である“筋-腱-骨”複合体の構築過程には不明な点がある。そこで我々は、顎関節部におけるこの機能的単位である複合体の形態形成プロセスを明らかにするため、発生および再生過程における検索を試みた。 試料は胎生期から出生後のC57BL/6J系マウス(胎生13.5-16.5日)を用いた。観察時期で屠殺後、通法に従い連続切片を作製した。外側翼突筋と下顎頭の付着形態を観察する為にマッソントリクローム染色を行った。また、形態学的観察を元に免疫組織化学的染色を行った。さらに変形性顎関節症モデルマウスを作製し、その損傷後の変化と再生過程を形態学的、組織学的に検索した。 胎生13.5~14.5日の外側翼突筋の膜性骨(関節突起)への付着部において、Sox9陽性の腱-骨格系前駆細胞群とDesminの集積する筋-腱接合部領域は接し強く発現していた。この両者の強発現は発生初期にみられ、その後Sox9陽性細胞の数は減少しながら、腱と骨組織を構築していくことが明らかとなった。変形性顎関節症モデルマウスを用いた観察結果では、関節円板切除後、下顎頭軟骨層直下に経時的にプロテオグリカンの発現を増加させ、持続的な軟骨層の破壊が開始された。次の段階として外側翼突筋停止部筋束付近において、損傷を受けたと思われる筋束断端にDesminの集積が観察され、骨損傷部にはSox9陽性の細胞が観察された。今回の観察結果から“筋-腱-骨”複合体の組織構築過程には、Desmin およびSox9が重要な役割を担っていることの一端が明らかとなった。
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