2018 Fiscal Year Annual Research Report
骨細胞におけるメカニカルストレス応答性のRANKL発現制御因子の探索
Project/Area Number |
18H06321
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
庄司 あゆみ 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (60826254)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 矯正学的歯の移動 / 骨細胞 / RANKL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨細胞がメカニカルストレスを感知し、RANKLを発現するメカニズムの解明のため、矯正学的歯の移動時の骨細胞の RANKL 発現作用ならびに標的遺伝子を探索することを目的とする。これまで申請者は、歯周組織構成細胞を単離する新規分画系を確立し、野生型マウスの歯周組織における RANKL 発現を解析した結果、歯根膜細胞や骨芽細胞と比較し、骨細胞で RANKLの高い発現が見出された。さらにTnfsf11flox/Δ; Dmp1-Creマウスでの歯の移動実験を行ったところ、対照群と比較して移動量が有意に低下し、圧迫側における破骨細胞数が減少していた。以上の結果から、矯正力に伴う骨吸収において、骨細胞が、歯槽骨のリモデリングを制御する RANKL の主要な発現細胞であることを示した。 平成30年度の研究計画として以下の項目を設定した。まず,骨細胞のメカニカルストレス応答性の因子を検討する目的で、様々な力学的条件下におけるマウス骨細胞様細胞株 MLO-Y4の機能解析を行う。力学的負荷には培養細胞伸展器もしくは遠心力を利用した Fluid flow による shear stressを用いる。RANKLの発現に関しては、RANKL の蛍光標識融合タンパク質を発現するプラスミドを細胞に遺伝子導入することで、蛍光標識にてトラッキングを行い、RANKL 発現の前後で発現の増加および減少のみられる候補遺伝子の同定を、GeneChipを用いたマイクロアレイおよびゲノムワイドなスクリーニングとプロテオーム解析を展開し試みる。本年度の進捗状況として、骨細胞に対する力学的負荷をおこなうため,培養細胞伸展器および遠心力によるFluid flowを用いた条件検討を行った。また、マウス骨細胞様細胞株 MLO-Y4の取り寄せを行い、マイクロアレイおよびプロテオーム解析への準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養細胞伸展器および遠心力によるFluid flowを用いた条件検討を進めているが、安定的な結果を得ることができるメカニカルストレスの系の構築に時間がかかっており、当初の予定であるゲノムワイドスクリーニングおよびプロテオーム解析に進んでいないことから進捗はやや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策として,メカニカルストレス負荷の系を確立させることが最優先事項となるため、培養細胞伸展器やshear stress以外の系も参考にしながら実験系の確立を進めたい。またRANKL 蛍光標識融合タンパク質を発現のプラスミド導入することで、蛍光標識にてトラッキングを行い、マイクロアレイおよびゲノムワイドなスクリーニングとプロテオーム解析を展開を加速させる。また得られた候補遺伝子の機能を明らかにするため に、強制発現・ノックダウンの系を用いたメカニズム解析を行い、In vitro の結果を基に、マウスの矯正力負荷モデルを用いて候補遺伝子の中和抗体実験を行い、マイクロ CT による歯の 移動量測定や骨構造解析、HE 染色や TRAP 染色などの組織学的 解析を実施し、候補遺伝子の生体における RANKL 発現制御機構を in vivo で検討する予定である。またマウスの矯正力負荷モデルは、クローズドコイルスプリングと 0.9mm ステンレススチールワイヤーにて第一臼歯と切歯を結紮し第一臼歯を近心移動させる系として申請者が確立しており、 実行可能性は高いといえるため、従来の研究目的である骨細胞のメカニカルストレス応答性のRANKL発現機構の解明に向け進めていく方針である。
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