2018 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌転移リンパ節節外進展における分子メカニズムの解明
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18H06326
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 祥弘 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (30590517)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 頸部リンパ節転移 / 節外進展 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔扁平上皮癌の頸部リンパ節転移における節外進展を制御している分子メカニズムの解明のための指針を得ることを目的として、平成30年度はこれまでに我々が報告してきたリンパ節転移の成立への関与が示唆されているFibronectinなどの臨床検体における発現を免疫染色法にて解析し、節外進展との関連を精査した。また、癌微小環境や癌免疫との関連を解析する目的でZsGreen1遺伝子を安定発現するマウス口腔癌細胞株の樹立を行った。ZsGreenの蛍光は、通常の組織染色処理条件で安定であることから、微小転移や骨浸潤を組織学的に可視化できる。 まず、臨床検体の免疫染色には舌癌の原発巣のパラフィン包埋された術後病理検体を用いた。Fibronectinとリンパ管上皮細胞マーカーであるD2-40の免疫染色を行なったところ、両者の間に正の相関関係を認め、後発転移を含めたリンパ節転移とも統計学的に有意な関連性を認めたが、節外進展とは明らかな関連性を見出せなかった。 次に、pZsGreen1-C1 Plasmid Vectorをマウス口腔癌細胞株SCCVII細胞とNR-S1細胞にトランスフェクション試薬を用いて遺伝子導入し、G418を用いて、ZsGreen1遺伝子安定発現細胞株を複数樹立した。ZsGreen1遺伝子の発現量を、蛍光顕微鏡による目視により行い、ZsGreen1遺伝子の発現が最も高かった細胞株をSCCVII-ZsGreen1細胞およびNR-S1-ZsGreen1細胞としてクローニングした。 以上の結果より、臨床検体においてはさらなる免疫組織学的検討が必要であると考えられ、SCCVII-ZsGreen1細胞およびNR-S1-ZsGreen1細胞は口腔扁平上皮癌のリンパ節転移および節外進展を詳しく解析する有益な動物実験モデルとして応用可能であるか、詳細に検討していく必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度はZsGreen遺伝子を安定発現したマウス口腔癌細胞株の樹立に成功したが、in vivoにおいて頸部リンパ節転移モデルとして応用可能かどうかの確認にまでは至らなかった。また、臨床検体を用いた解析においても節外進展に関連すると思われる因子の同定には至らなかった。したがって、当初の目的であるマウス口腔癌細胞株の傾向標識には成功したが、これを利用した頸部リンパ節転移における節外進展の動物実験モデルは確立できず、臨床検体に関する解析も不十分であったため、次年度に継続して行うこととなった。したがって、研究はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、平成30年度に樹立したマウス口腔癌細胞株であるSCCVII-ZsGreen1細胞およびNR-S1-ZsGreen1細胞をC3H/HeNマウスの舌に接種し、頸部リンパ節転移動物実験モデルとしての応用を目指す。また、これと同時に我々が以前樹立したヒト口腔癌細胞株の頸部リンパ節高転移株であるV-SAS-LM8細胞を用いて頸部リンパ節の節外進展の再現を試みる。 また、臨床検体の節外進展組織を用いた詳細な解析も開始する予定である。
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