2019 Fiscal Year Annual Research Report
SMAD4を介した口腔癌の発癌・悪性形質獲得機講の解明と新規診断・治療法への応用
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19K21413
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂田 純基 熊本大学, 病院, 医員 (70823326)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | SMAD4 / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔白板症(OL)および口腔扁平上皮癌(OSCC)におけるSMAD4の発現およびその機能について検討するため、OL患者150例の生検または切除標本と進行OSCC患者90例の生検標本でSMAD4の免疫組織化学染色を行い、各項目との関連を検討した。また角化細胞株とOSCC細胞株を用いてSMAD4の発現およびSMAD4の発現抑制による様々な影響について検討した。150例のOL患者のうち23例がのちに癌化を認め、OL組織におけるSMAD4の低発現は癌化と相関を認めた。SMAD4低発現群では高発現群と比較し、上皮下組織においてFOXP3陽性のリンパ球を多く認めた。角化細胞株でSMAD4の発現を抑制すると、BRCAとRAD51の発現低下を認めた。またOSCCの生検標本において、SMAD4の低発現は化学放射線治療(CRT)の治療効果不良および頸部リンパ節転移と相関を認め、SMAD4低発現群は高発現群と比較し有意に予後が不良であった。また当科で樹立した5-FU耐性OSCC細胞株では親株と比較しSMAD4発現が低下しており、OSCC細胞株でSMAD4の発現を抑制すると、5-FUおよびCDDPの感受性の低下を認め、アポトーシス阻害因子cIAP2の発現が上昇していた。CRTの治療効果不良であった症例の切除標本において、CRT後も生存していた癌細胞においてSMAD4の発現低下とcIAP2の高発現を認めた。OLにおけるSMAD4低発現は抗腫瘍免疫の抑制やゲノム不安定性に影響し、その癌化に関与している可能性が示唆された。またOSCCにおいてSMAD4低発現は、cIAP2発現上昇による抗アポトーシス作用増強を介して抗癌剤抵抗性に関与している可能性が示唆された。SMAD4がOLの癌化予測因子、OSCCの治療効果予測因子および治療標的として応用できる可能性が示唆された。
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