2019 Fiscal Year Annual Research Report
エンドセリンを基軸としたインプラント周囲粘膜の分子病理学的診断イノベーション
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19K21414
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
野代 知孝 九州歯科大学, 歯学部, 医員 (00829781)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インプラント周囲炎 / インプラント周囲粘膜炎 / エンドセリン / インプラント周囲溝滲出液 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔インプラント治療の偶発症であるインプラント周囲炎は、インプラント喪失につながる重篤な疾患であるため、疾患の初期段階であるインプラント周囲粘膜炎の正確な診断が重要である。しかし、臨床的評価指標がBleeding On Probingの有無のみであり、正確な病態を評価することは困難である。最近,血管内皮細胞由来のペプチドであるエンドセリンが、歯周病の病態形成に関与することが明らかになってきた。そこで、本研究ではエンドセリンを標的としたインプラント周囲粘膜における炎症の新たな診断法を確立することを目的とした。 九州歯科大学附属病院口腔インプラント科に来院した歯周炎、インプラント周囲粘膜炎および、インプラント周囲炎患者のインプラント周囲溝からペーパーポイントを用いて滲出液を採取した。採取したサンプルから総細菌数と歯周病原細菌6菌種をPCR-invader法にて検討を行ったところ、Fusobacterium nucleatumを含む5菌種は検出されたが、Aggregatibacter actinomycetemcomitansは検出されなかった。また、ELISA法を用いて、滲出液中のエンドセリン-1量について検討した。その結果、インプラント周囲炎患者の滲出液からエンドセリン-1の検出が可能であることが明らかとなった。しかしながら、上部構造のエマージェンスプロファイルの形態および採取者によってペーパーポイントの挿入力に差があり、十分な浸出液量の採取やサンプルへの血液成分の混入などが生じ、安定したサンプル採取に困難をきたす場合もあった。現在のところ、インプラント周囲粘膜における炎症の病態診断にまでは至っていないが、エンドセリン-1がインプラント周囲疾患の判別に有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)