2019 Fiscal Year Research-status Report
運動の短期的効果を評価可能とする新たなバイオマーカーの確立~ミトホルミシスの応用
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19K21427
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
荻野 志穂奈 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (70746685)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 運動 / ミトホルミシス |
Outline of Annual Research Achievements |
血球の抗酸化酵素の遺伝子発現と運動習慣の関連性を確認するための横断研究を行っている。2019年12月に実施する健診機関での倫理委員会の承認をいただき、2020年1月から3月末にかけて、既往歴や投薬がない健常成人400名弱について、運動習慣や運動頻度の詳細な問診と血液検体の採取を行った。遺伝子発現解析に必要なプライマーについては、既存のもので機能することを確認し、新規に必要なものは設計、注文を完了した。酸化ストレスおよび抗酸化力の測定については、市販の測定キット以外にも多面的に行う必要があり、TBARS法による過酸化脂質の蛍光測定、グルタチオンの測定、troloxを用いた測定方法について、再確認を行っているところである。 検体の解析については、変更先の所属機関で行うことになったため、再度研究計画を提出し倫理委員会の承認待ちである。 縦断研究については計画書を既に作成済みであるが、研究全体の遅延もあり、遂行できる可能性が低くなってきている。そこで運動とミトホルミシスとの関係をvitroで解析するために、ヒト血球系培養細胞を用いた実験系を開始した。運動と同程度のhypoxia条件下で、抗酸化遺伝子の発現や酸化ストレスについて解析した。興味深いことに、hypoxia条件下を負荷するのみでは抗酸化遺伝子群の変化はほとんど見られなかったが、hypoxia条件負荷後に正常の条件下に戻すことによって抗酸化遺伝子群が有意に上昇することを見出した。この現象は、以前の介入研究で得られた運動習慣によるミトホルミシスの持ち越し効果を説明する可能性があり、さらなる検討が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
春に出産しその後育児休業を収得させていただいた。育休明けに教室の方針が急遽変わり、当初予定していた研究機関での継続が難しいことが判明したため、新たに所属機関を探す必要があった。これに伴い、研究の実施が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
血液検体について、遺伝子発現解析と抗酸化力の測定プロトコールについて最終チェックを行っているところである。変更後の所属機関での研究実施について倫理委員会が再承認され次第、解析を行っていく。また、取得した問診結果や各データについても最終調整を行っていく。 ヒト血球系培養細胞を用いて、運動と同程度のhypoxia条件下での酸化ストレスおよび抗酸化能についての基礎実験についても、ミトコンドリアを中心とした形態学的解析や関連分子、代謝関連因子を含めた解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究の育休及び所属先変更による研究の遅延に伴い次年度使用額が生じている。 現在進行中の研究に必要な試薬などの物品購入に使用する予定である。
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