2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of Vascular Endothelial Function with Ultrasound in Neurological Diseases
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19K21428
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岡田 陽子 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(病院教員) (00435025)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血管内皮機能 / 神経変性疾患 / 認知症 / NO / flow mediated dilatation / Breath Holding Index |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、愛媛大学医学部附属病院脳神経内科の入院・外来加療中の患者で、研究に同意が得られた72例を対象とし、TCDを用いた息こらえ試験Breath Holding Index (BHI)と上腕動脈のFlow Mediated Dilatation (FMD)により血管内皮機能を解析し、疾患との関連を検討した。平均年齢は58.1歳(22-86歳)、男性34例、女性38例であった。全体における平均値はBHI 0.85±0.6、収縮期%FMD 4.3±2.8であった。年齢とBHIは有意な逆相関があり(R2=0.08, p=0.022)、FMDでも年齢との逆相関傾向が見られた(R2=0.09, p=0.051)。過去に報告されている正常値を用いると、今回の検討例における血管内皮機能障害の頻度はBHI 0.7未満;31例43.1%、FMD 6%未満;35例48.6%であった。基礎疾患を認知症(主にアルツハイマー型認知症AD)、変性疾患、炎症性疾患、その他に分類し、血管内皮機能との関係を検討したところ、FMD低下群では認知症が多い傾向を認めた(BHI正常群8例19% vs 低下群5例17%、%FMD正常群1例13% vs 低下群8例23%)。 ADの発症や病態進行にはNO産生低下による脳微小血管障害の関与が報告されている。今回の我々の検討の結果から、ADにおける血管内皮障害は、BHIよりも主にNOに対する血管拡張反応を示すFMDに反映されやすい可能性が示唆された。ADにおいては、endothelial NO synthase(eNOS)の発現が低下していることが報告されており、今回の我々の結果と合致する。NOによる血管拡張作用は、CO2と比較して中枢の大血管にも作用し、脳局所の圧負荷を軽減することで、脳神経血管ユニットに対して保護的に作用している可能性を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
診療科共有の検査室を使用しており、検査時間の確保が予想より難しかったため
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、症例登録のペースとしてはやや時間がかかっているものの、解析結果としては当初想定していた通り、有益な情報が得られている。研究を実施する時間帯などを調整しながら症例登録を継続する予定である。
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Causes of Carryover |
プローブ固定用アーム購入資金を予算に計上していたが、過去に使用していたアームが使用可能な状態であり、購入を見合わせている。一部、固定具の故障があり、安定性に問題が生じる可能性があるため、次年度、状態を見ながら購入を検討する予定である。
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