2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of Vascular Endothelial Function with Ultrasound in Neurological Diseases
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19K21428
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岡田 陽子 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師(病院教員) (00435025)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血管内皮機能 / 脳血管反応性 / Breath holding index / flow mediated dilation / 超音波 / 認知症 / 多発性硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はCOVID-19の影響により症例の蓄積に難航した。 昨年度からの継続として、血管内皮機能を示すFlow mediated dilation (FMD)が低下している群では認知症の頻度が高く(FMD正常群 11.1 % vs FMD低下群 23.5 %)、FMDと認知症の間には有意な関連 (p = 0.038)を認めた。この結果について、2020年脳卒中学会にて学会発表した。 中間解析の結果から、一般的には動脈硬化との関連が少ないとされる多発性硬化症を代表とする中枢神経炎症性疾患において、脳血管反応性を示すBreath holding index (BHI)と、FMDの低下が示唆されたため、同疾患を中心に、44例の新規症例登録を行った。 27例の多発性硬化症と24例の対照例の検討では、FMD (多発性硬化症 6.0 ± 0.6 vs.対照 例 8.6 ± 0.7, p = 0.006)、BHI (0.8 ± 0.1 vs. 1.1 ± 0.1, p = 0.077)ともに多発性硬化症で低下し、FMDの方が強く関連していた。さらに、FMDについては、身体的日常生活自立度を示すmodified Rankin scale scoreや、多発性硬化症の重症度を示すEDSSとの関連が認められた。この結果について、「多発性硬化症の重症度と血管内皮機能障害」として2020年神経治療学会で学会発表を行い、現在論文を投稿中である。 血管内皮は、neuro-vascular unitの構成要素であり、血管内皮機能障害は、想定以上に多くの疾患における機能低下に関係している可能性が想定される。今後は、症例の登録が順調に再開でき次第、その他の炎症性疾患や、認知症疾患に関する検討についても順次行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により、症例登録が行える期間が限られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
認知症においては、アルツハイマー型認知症においても血管系危険因子の影響が注目されており、本研究においてもBHI,FMDともに低下していた。認知症にはアルツハイマー型認知症以外に脳血管性認知症、前頭側頭型認知症などもあり、病型による血管機能の相違について検討を予定している。また、炎症性疾患については、多発性硬化症と対比して視神経脊髄炎における血管機能障害の解析を予定している。 しかしながら、COVID-19感染状況の先行きが不透明であることから、状況をみながら対応していく必要がある。
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Causes of Carryover |
FMD計測用のプローベ固定台について修理または新規購入を予定してる(予定額25万)。その他、投稿論文の英文校正や、解析ソフトの更新を予定している。
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