2018 Fiscal Year Annual Research Report
Estimation of Selenium Intake in Japan
Project/Area Number |
18H06359
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
村野 晃一 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (50827277)
|
Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
Keywords | セレン / トータルダイエット / ICP-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
セレンは生体内で酸化ストレス防御系を担う必須微量元素であり、欠乏すると心筋障害や変形性骨軟骨関節症を引き起こす。一方、推奨量以上のセレン摂取と糖尿病発症オッズ比との間には正の相関性があることが報告され、セレンと生活習慣病との関連性についても注目されている。そこで、我が国における現在のセレン摂取量を明らかにするために、まず85の食品に分類したものをさらに13の食品群に分類したのち、調理・加工を施すことで、摂取する形態を反映するトータルダイエット法を用いてそれぞれの試料群を調製した。また、試料中セレン量を測定するための前処理方法について、マイクロウェーブ分解法が少量の酸および密閉系にて分解可能なことからセレン量分析に適していると考えられた。それゆえ、マイクロウェーブ分解法が本研究の前処理に適しているのか否かについて、セレン含有量の値が保証されている認証標準物質を用いて真度および精度を検討した。方法は、認証標準物質を一日2併行で5日間マイクロウェーブ分解装置を用いて分解し、その後高周波誘導結合プラズマ‐質量分析計(ICP-MS)を使用してセレン量を測定した。その結果、認証値に対してセレンの回収率は117%ならびに標準偏差が2.3%となり、真度および精度は良好であったため、本分解法をトータルダイエットの前処理に使用することとした。次に2018年に作製したトータルダイエットについて、マイクロウェーブ分解法およびICP-MSを用いてセレン量を測定した。その結果、1から13群全ての群から1日で摂取しているセレン量は約130 μg/dayと推定された。また、そのセレン摂取量に対する各群の占める割合は、魚介類群が最も多く、続いて肉および卵類群、米類以外の穀類、種実、芋類群と並んで調味料等その他の群の順に多いことが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食品の種類が異なる13群に対し、マイクロウェーブ分解装置を用いて単一のプロトコールにて湿式分解が可能となり、その手法について精度等を確認出来ているため。また2018年度分のトータルダイエット法で調製した13群全てのサンプルも、ICP-MSで問題なく測定できている。加えて、過去に遡り調査するための試料もすでに準備が完了しており、現在ICP-MSを用いて過去の試料についてセレン量の測定に着手している。2019年度に予定している液体クロマトグラフ‐タンデム型質量分析計(LC-MS/MS)や液体クロマトグラフ‐高周波誘導結合プラズマ‐質量分析計(LC-ICP-MS)を用いたセレン化合物の形態別分析についても、直ちに使用できるように周辺機器の整備も完了している。
|
Strategy for Future Research Activity |
トータルダイエット法によるセレン摂取量の調査は、5年毎に遡り試料中セレン量をICP-MSを用いて測定することで、食習慣の変遷によるセレン摂取量の変化を明らかにしていく。また、上記と併行してセレンの形態別分析についても摂取割合の構成順に魚介、肉卵、米類以外などの穀類、種実芋類群を中心にセレノメチオニン、メチルセレノシステイン等の低分子セレン化合物のLC-MS/MSおよびLC-ICP-MS分析から着手を始める。
|