2021 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of Selenium Intake in Japan
Project/Area Number |
19K21442
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
村野 晃一 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (50827277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セレン / トータルダイエット / HPLC-ICP-MS |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に確認されたセレノ-L-メチオニン、Se-(メチル)セレノ-L-システイン、セレノ-L-シスチンの3種類と保持時間が一致しないトータルダイエット魚介類群のセレン化合物について、標準品を添加し、高速液体クロマトグラフ(HPLC)-高周波誘導結合プラズマ-質量分析計(ICP-MS)にて分析した。その結果、添加した標準品が元々確認されていた保持時間に検出されないことが判明し、試料由来の夾雑物による妨害等が考えられた。 それゆえ、まず逆相系カラムを用いた精製を行い、HPLC-ICP-MSにて分析した。セレン由来のピークは確認されたが、標準品を添加して再度分析したところ、未精製試料と同様に保持時間のずれが生じた。更なる精製法の検討として、試料溶液を90%以上のアセトニトリルに調製して除タンパクを行い、親水性相互作用カラムを利用した精製を検討した。しかし精製後の試料をHPLC-ICP-MSにて分析したところ、セレン化合物はクロマトグラム上ほとんど確認されなかった。このことは、試料を90%アセトニトリル溶液に調製した際、タンパク質と共沈してしまった、あるいはここでも夾雑物の妨害により精製カラムに保持されなかったこと等が考えられた。 上記アプローチとは別に更なる消化効率の向上を期待し、カオトロピック剤や還元剤等を使用した消化方法について検討を行った。すなわち、尿素や界面活性剤を用いてタンパク質の可溶化を促進させ、還元剤を用いてジスルフィド結合を還元、アルキル化を行うことでプロテアーゼによる消化効率の向上を図った。こちらも前述の精製方法を用いてHPLC-ICP-MSにて分析を行ったが、保持時間のずれが生じており、消化効率が改善されたか否か判断することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
魚介類群のプロテアーゼ消化試料について固相カラムを用いた精製法の検討を行ったが、試料中夾雑物が非常に多く、HPLC-ICP-MS分析におけるクロマトグラム上の保持時間変動を解決するに至らなかった。また試料精製法の確立後でなければ、カオトロピック剤等を用いて消化効率が向上したのか否かを評価できないため遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は夾雑物による妨害を改善するために、イオン交換系カラムを用いた精製や複数のモードの精製カラムを組み合わせるなど、更なる精製方法の検討を行う。その上で、LC-Q-TOF/MSとLC-ICP-MSの両方を利用したセレン化合物の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症が未だ収束しておらず、一部解析業務に携わることとなり、予期しなかったスケジュール変更が生じたため研究が進まず、物品等の購入が滞ってしまった。 次年度は、試料精製方法の更なる検討を行うために必要な固相カラム、各種MSに使用する消耗品等の購入費に使用する予定である。
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