2022 Fiscal Year Annual Research Report
Estimation of Selenium Intake in Japan
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19K21442
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
村野 晃一 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (50827277)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セレン / ICP-MS / HPLC-ICP-MS / トータルダイエット |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国におけるセレン摂取量を明らかにするために、トータルダイエット法を用いて調製された各々の試料群をマイクロウェーブ分解した後、高周波誘導結合プラズマ‐質量分析計(ICP-MS)にてセレン量を測定した。2018年から2008年の調製された試料を分析した結果から、セレン摂取量は106~148 μg/dayと推定され、従来から考察されていた摂取量(約100 μg/day)との間に大きな乖離はないと推察された。 上記に加え、セレンを摂取する割合が最も多いと推定された魚介類群の試料について、セレン化合物の形態別分析法を液体クロマトグラフ-ICP-MSを用いて検討した。分解条件は緩和な条件であるプロテアーゼを用いて食品を分解しつつ、セレン化合物を抽出できるか否か検討した。その結果、Trisバッファーおよびプロテアーゼのみにて消化した試料は、セレノ-L-メチオニンの存在が確認された。一方、カオトロピック剤や還元剤を追加した消化法は、標準品として用意したセレノ-L-メチオニン、Se-(メチル)セレノ-L-システイン、セレノ-L-シスチンとは異なる複数のピークがクロマトグラム上で確認された。これらのピークは、標準品以外のセレン化合物、あるいはアミノ酸単位まで消化せずセレンを含んだペプチドとして検出された可能性が示唆された。以上より、同一プロテアーゼを用いても消化法の違いにより異なるセレン化合物が検出されることが判明した。 本研究をまとめると、セレン摂取量は106~148 μg/dayと推定され、推奨量以上を食事から摂取していることが推察された。摂取しているセレンの形態として、セレノ-L-メチオニンが確認され、加えてプロテアーゼ処理により複数にピークが検出されていたことから、タンパク質を構成しているセレノ-L-システインを含んだ消化ペプチドである可能性が示唆された。
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