2020 Fiscal Year Research-status Report
社会保障費適正化に向けた「ぴんぴんころり」の個人・地域環境要因に関する実証研究
Project/Area Number |
19K21446
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
長嶺 由衣子 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70748368)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 要介護度の変遷 / ぴんぴんころり / 要因分析 / 潜在クラスター分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
予定していたA県B市、C県16市町村、D県14市町村のうち、A県B市のみ分析が可能な状態で2018年度末までにデータを得ることができている。A県B市の2006年以降の縦断データを用いて13年間の要介護度の変遷の分析を開始した。潜在クラスター分析により、要介護度の変遷はおおむね3グループに分類することができ、「ぴんぴんころり(=重度な要介護度を介さずに死亡)」グループ、「中等度要介護度で死亡」グループ、「重度要介護度で死亡」グループが見出されている。 C県16市町村については、2018年度末にようやくデータは取得できたものの、個人レベルの分析をするための突合キーがなく、地域レベルの分析にとどまっている。結果は、自治体により介護費用や医療費のばらつきがあること、糖尿や高血圧を示唆する健診データに集団として差があることまではわかっている。今回データ取得にご協力をいただいた自治体にフィードバックをしていくため、地域の特性や社会参加状況、人々の行動様式などの研究は行ったものの、個人レベルについては分析が不可能であることが判明しており、今後もこのデータの分析は難しそうである。 令和2年度は主にデータ収集や結果のご協力いただいた自治体へのフィードバックにかかる交通費を見込んでいたが、コロナ禍の緊急事態宣言、診療の多忙さにより物理的に移動もできず、打合せ等もオンラインになったため全く使用せずに持ち越すこととした。 また、コロナ禍で新型コロナに関わる研究、分析を優先的に行っていたため、こちらの研究、分析の進捗はなかった。 データの限界を認識しつつも、地域相関研究、個人レベルの研究として分析を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は産休・育休のため研究ができなかった。2020年度に入り復帰を機に分析を再開したものの、同時期に新型コロナウィル スの臨床対応、在宅医療・介護領域での対応が迫られ思うように分析が進んでいない。 現状使用するデータについては問題がないが、新たに取得予定であった国保データベースに関するデータについても、新型コロナウィルスによる自治体対応が煩雑化したためご対応いただけない現状もあった。今後ご対応が落ち着いたところで再度問い合わせを行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現段階に至っても、国保データベースとそれに紐づく介護保険関連データはそもそも個人レベルでの分析は難しいデータであるという状況に変わりはない。 本研究の関心にそぐうデータとしては、概要に示したA県B市の2006年以降の縦断データのみであるため、このデータに集中し、13年間の要介護度の変遷を分類し、社会参加や社会背景と「ぴんぴんころり」の関連について分析を進める。これまでの分析では、なかなか思うような結果が出ないため、データの限界を認識しつつも、地域相関研究、個人レベルの研究として分析を進める。 さしあたり、2021年6月抄録締め切り予定の第30回日本公衆衛生学会総会に向け、分析、結果提示、考察を進める予定である。分析がうまくいき次第、論文化に移行する。
|
Causes of Carryover |
前年度コロナ禍にて移動ができなかったため交通費の使用がなかったこと、コロナ関連の診療や研究を優先したため研究費もほとんど使用がなかったため。 改めて、分析、研究、発表をする時間が取れるようになることを見込んで可能な限り多くの研究費を次年度に持ち越す決定をしました。 移動が可能になれば交通費に使用するが、困難であればオンライン研究環境の維持、研究支援者への分析費用、分析機器や分析に資する図書への投資として使用していく。
|