2019 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者に特有のサルコペニア発症・進展および転倒の規定要因:5年追跡調査
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19K21450
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
岡本 智子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00825713)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖尿病 / サルコペニア / 転倒 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニアは骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能の低下により定義され、転倒・骨折による要介護の要因である。インスリン抵抗性や糖代謝異常を伴っている糖尿病患者は若年層でもサルコペニアが進展している可能性がある。したがって、糖尿病患者の筋力及び骨格筋量を年齢階級別に縦断的に検討し、筋力・筋量低下の関連要因を抽出することは、糖尿病患者におけるサルコペニアの予防、治療戦略を構築する上で不可欠である。 本研究の目的は、糖尿病患者の5年間の筋力の推移より糖尿病の重症度とサルコペニアの進展状況との関連を年齢階級別に分析すること、糖尿病患者におけるサルコペニア発症と転倒経歴との関連を明らかにすることである。 2019年度は、前年度に引き続き調査同意が得られた対象者に対し身体計測、認知機能テスト等の調査を12月まで実施した。その結果、調査対象者485名中転医等の理由で追跡調査困難者は167名であった(追跡率:66%)。追跡可能者318名中2018年12月~2019年12月の期間で同意取得及び調査終了者は299名であった(応諾率:94%)。サルコペニアの評価にはAWGS2019の定義を用いた。評価項目のカットオフ値は、握力値が男性は28㎏未満、女性は18㎏未満に該当した者を低筋力、6m歩行速度が1m/秒未満または5回椅子立ち上がりテストが12秒以上に該当した者を低身体機能、BIA法で測定した骨格筋量が、男性は7.0㎏/㎡未満、女性は5.7㎏/㎡未満に該当した者を低骨格筋量とした。さらに、低筋力かつ低骨格筋量または低身体機能かつ低骨格筋量に該当した者をサルコペニアと診断した。2019年7月までに調査が終了かつサルコペニア診断の評価項目に欠損がなかった261名のうち、サルコペニアに該当した該当者は全体で17名(6.5%)、自記式質問紙調査で「転倒あり」と回答した者は52名(19.9%)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、昨年度に引き続き、調査への同意を得られた対象者に対して、身体計測、認知機能テスト等の調査を実施した。しかし、調査対象者の体調や通院予定の変更等により、予定していた調査期間よりも調査終了までに期間を要した。また、COVID-19感染拡大防止の観点より、臨床研究に伴う病院への入室が禁止され、診療録からの検査データの抽出や経過記録の確認作業が行えず、解析可能なデータ構築作業が中断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年8月~12月に調査が終了した対象者のデータも含めて解析可能なデータベースを作成する。作成したデータベースを用いて、糖尿病患者におけるサルコペニアの発症・進展および転倒との関連の解析を行っていく。さらに、2013年に収集された同被験者のデータベースを今回構築したデータベースと突合し、糖尿病患者の筋力の推移と糖尿病の重症後との関連についても検討していく。
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Causes of Carryover |
調査対象者の体調は通院予定の変更等により、予定していた調査期間よりも調査終了までに期間を要した。また、COVID-19感染拡大防止の観点より、臨床研究に伴う病院への入室が禁止され、診療録からの検査データの抽出や経過記録の確認作業が行えず、解析可能なデータ構築作業が中断している。そのため、データ解析及び論文投稿まで至らなかったので、次年度に論文投稿を行う予定である。
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Research Products
(2 results)