2020 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者に特有のサルコペニア発症・進展および転倒の規定要因:5年追跡調査
Project/Area Number |
19K21450
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岡本 智子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (00825713)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サルコペニア / 糖尿病 / 転倒 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニアは骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能の低下により定義され、転倒・骨折による要介護の要因である。インスリン抵抗性や糖代謝異常を伴っている糖尿病患者は若年層でもサルコペニアが進展している可能性がある。本研究の目的は、糖尿病患者の5年間の筋力の推移より糖尿病の重症度とサルコペニアの進展状況との関連を年齢階級別に分析すること、糖尿病患者におけるサルコペニア発症と転倒経歴との関連を明らかにすることである。 2020年度は、調査対象者に実施した調査項目のデータを解析可能なデータ構築作業及び学会発表を行った。学会発表では、調査対象者のふらつきの自覚を伴う起立性低血圧(以下、OH)と転倒歴との関連を横断的に検討した。2019年12月末までに調査が終了かつ評価項目に欠損がなかった246名をOH有無とふらつきの自覚(以下、自覚)有無を組み合わせて4群に分類し、「OH無・自覚無」群を参照水準とした転倒歴有りに対する調整オッズ比及び95%信頼区間を性、年齢、HbA1c値、座位時収縮期血圧値、糖尿病治療薬使用状況、糖尿病神経障害、MMSE合計点で調整した多変量ロジスティック回帰分析を用いて算出した。その結果、転倒歴があった者は「OH無・自覚無」群で15.1%、「OH有・自覚無」群で18.3%、「OH無・自覚有」群で31.3%、「OH有・自覚有」群で75.0%であった。多変量解析の結果、「OH無・自覚無」を参照水準としたOH及び自覚の有無における転倒歴有りの調整オッズ比(95%信頼区間)は順に1.32(0.56-3.15)、1.56(0.41-5.93)、18.62(1.45-239.61)であった。大学病院に外来通院中の糖尿病患者においては、起立時にふらつきの自覚を伴う血圧低下を認める者は、転倒を生じやすい可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は、調査対象者に実施した調査項目のデータを解析可能なデータ構築作業を実施した。その後、解析を実施し、得られた結果を用いて論文投稿の予定であったが、研究者の現在の所属機関とは異なる機関で研究データを保管しており、COVID-19感染拡大に伴い県外移動の自粛を余儀なくされたため、データ解析の実施が十分できていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
解析可能なデータ構築作業は終了したが、現在は一部データの解析に限られており、今後は主課題に対するデータ解析を進め、次年度にデータ解析と論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度にデータ解析と論文投稿を行う予定であったが、現在の所属機関とは異なる機関に研究データを保管しており、COVID-19の感染が流行している中で、県外移動の自粛を余儀なくされ、データ解析と論文投稿まで至らなかった。そのため、次年度にデータ解析と論文投稿を予定しており、論文投稿費用、英文校正費用に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)