2022 Fiscal Year Annual Research Report
チーム変革型認知症高齢者尿失禁ケアプログラムの開発と評価
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19K21453
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
渡邊 千登世 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (80828484)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 尿失禁ケア / 認知症高齢者 / ケアプログラム / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、機縁リクルーティングにより、特別養護老人ホームに研究協力を依頼したが、新型コロナウイルス対策による外部者の入場制限があり、受け入れ先を探すことが困難であったため、1施設での「チーム変革型尿失禁高齢者ケアプログラム」導入によるデータをまとめた。 対象となる認知症高齢者は10名であった。対象者の平均年齢は90.5(SD7.31),MMSEの平均は9.7(SD6.5)であった。認知症高齢者生活自立度は、Ⅱb1名,Ⅲa5名,Ⅳ3名,M1名であった。ケアプログラムを実施する看護師は4名であり平均年齢47.3歳で全員女性であった。介護職員は19名で、そのうち12名が女性であり、平均年齢43歳であった。 各対象者への尿失禁に対するケア介入は5週間であり、排尿日誌によるアセスメントを行い、排尿誘導時間の計画、飲水コントロール、おむつなどの失禁用具の検討などを行った。ケア介入前後で、認知症高齢者の失禁状態の比較を行った。1日の水分摂取量は介入後が介入前に比較し、有意に低くなり(t(10)=3.53,P =0.006)、1日排尿量(t(10)=2.33,P =0.044)および昼間1回平均失禁量(t(10)=2.81,P =0.020)が有意に低下している。高齢者は抗利尿ホルモンの夜間の産生が減少することからいずれの対象者も、介入前よりNPI(夜間多尿指数)が平均0.45と高値を示しており、介入後の平均値も0.52と変化がみられず、夜間の排尿量の調整は困難であった。また、認知症高齢者のshort QOL-Dの総合得点平均値の介入前後比較では、有意差は見られないものの平均値が22.9から27.1と上昇していた。25-29点が「良い」、20-24点が「少し良くない」と評価されるためQOLは、やや改善しているものと考えられる。以上のことから、1施設における本プログラムが有効であったと考えられる。
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