2019 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の寝たきりを予防するための座位による廃用性下肢浮腫ケアプログラムの確立
Project/Area Number |
19K21454
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
上田 映美 公立小松大学, 保健医療学部, 助教 (40826559)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高齢者 / 下肢浮腫 / 廃用性浮腫 / 圧迫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者の寝たきりを予防するための座位による廃用性下肢浮腫の新しいケアプログラムの確立を目指し行われた。下腿または足部に浮腫があり、日中の主な時間を座位で過ごす65歳以上の高齢者を対象とし、リンパ浮腫や静脈不全に伴う浮腫にて既に効果が示されている包帯による圧迫療法が、座位による廃用性下肢浮腫に効果があるのかを検討した。 研究デザインは症例研究とし、圧迫療法を実施し、浮腫軽減効果がどの程度得られるか、心臓負荷がどの程度であるかを評価した。また、身体的・精神的・社会的Well-beingがどのように変化するかを観察した。圧迫療法は足背から膝下までの範囲を4週間、起床時から就寝時まで実施した。はじめは弾性チューブ包帯による弱い圧迫圧から開始し、効果がみられない場合は、圧迫包帯を用いて徐々に圧迫圧を強くして実施した。浮腫軽減効果は、週2回圧痕検査および周囲径測定にて評価した。心臓負荷は、血圧、脈拍、心音(II音亢進の有無)、呼吸状態、末梢循環状態、頸動脈怒張をアセスメントした。さらに、1週間に1回心エコーによる心不全の評価(EF, 下大静脈径)を実施した。Well-beingは、対象者および介護者にインタビューを実施した。 この結果、対象者6名全員に、足背部、足首部、下腿部のいずれかの部位に対して、浮腫軽減効果が認められ、圧迫療法の有効性が示された。安全性については、圧迫療法前後の酸素飽和度、呼吸音、心音および週1回の心エコーを実施し、心不全発症をスクリーニングした。対象者に圧迫療法の実施に伴う心不全悪化の症例は認められず、安全に実施できることが明らかとなった。さらに、歩行に対し前向きな発言が聞かれる等のWell-beingの向上も示唆された。 これらの結果から、座位による下肢浮腫の新しいケアプログラムの1つとして、圧迫療法は有効であることが示唆された。
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