2018 Fiscal Year Annual Research Report
スタチン使用による糖尿病発症リスクに関するメタボローム疫学研究
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18H06377
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松元 美奈子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00822561)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | コホート / レセプト / 脂質異常症治療薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「山形県鶴岡市の地域在住者コホート」のベースラインデータ(2012年4月-2015 年3月)を用い、スタチン服用と血漿中メタボローム解析による網羅的代謝物および臨床検査値や糖尿病有病状態との関連を明らかにする事を目的としている。さらに診療録(レセプト)情報を活用した薬剤処方情報データベースを構築して、より精度の高いスタチンの種類や用量を考慮した解析を行う。今年度の研究成果として以下の2点が挙げられる。 ①データ収集 本研究に唯一不足していた診療録(レセプト)情報の収集(2014年11月-2018年11月)を行い、薬剤処方情報データベース構築の土台となるデータの整理を行った。更に膨大な診療録情報を簡易的に利用できるように薬剤処方情報データベースアプリの開発をエンジニアと共に行った。このアプリの開発によりスタチンの種類や用量を考慮した発展的な研究を行う事が可能となった。より精度の高いデータを用いる事で、スタチン服用による代謝変化や代謝変化を示すバイオマーカー、副作用発現に繋がるバイオマーカーを検討できると思われる。 ②データ解析 まず調査票の自己式服薬状況の情報を用いて、脂質異常症治療薬と臨床検査値や糖尿病有病状態との関連を明らかにした。レセプトデータを用いた検討では、脂質異常症治療薬服用者の約77%がスタチン系治療薬服用者であった。脂質異常症治療薬服用群は薬剤非服用かつLDL-Cho≧140 ㎎/dLであった群に比べ糖代謝異常への移行リスクが高く、予備的に行った血漿メタボロームを用いた代謝プロファイルの解析にも違いが観察された。しかし、脂質異常症治療薬だけでなく動脈硬化性疾患の発症リスクが高い状態が糖代謝異常への移行リスクを反映している可能性も考えられた。本結果は第29回日本疫学会学術総会にて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は「山形県鶴岡市の地域在住者コホート」のベースラインデータ(2012年4月-2015 年3月)を用い、スタチン服用と血漿中メタボローム解析による網羅的代謝物および臨床検査値や糖尿病有病状態との関連を明らかにする事を目的として研究を行ってきた。さらに診療録(レセプト)情報を活用した薬剤処方情報データベースを構築して、より精度の高いスタチンの種類や用量を考慮した解析を行う事を目指している。 【情報収集に関して】 本研究に唯一不足していた診療録(レセプト)情報の収集を行い薬剤処方情報データベース構築まで進んでいるものの、入手できたデータは2014年11月-2018年11月と限られており、ベースラインの一部の期間であった。 【解析に関して】 鶴岡市より提供頂いた診療録(レセプト)情報がベースラインの一部の期間であったため、より精度の高いデータを用いたスタチン服用による代謝変化や代謝変化を示すバイオマーカー、副作用発現に繋がるバイオマーカーを検討する事は困難であった。 しかし、ベースラインデータと診療録(レセプト)情報、2つのデータが揃っている2014年11月-2015年3月に参加した対象者に注目し、調査票の自己式服薬状況の情報による脂質異常症治療薬服用と、診療録(レセプト)情報による脂質異常症治療薬服用を比較する事で、脂質異常症治療薬服用と回答した対象者のうち、約77%がスタチン系治療薬を服用中である事を解明した。この結果を参考に脂質異常症治療薬服用と血漿メタボロームを用いた代謝プロファイルの解析を行い、更に脂質異常症治療薬と臨床検査値や糖尿病有病状態との関連を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はスタチン服用と血漿中メタボローム解析による網羅的代謝物および臨床検査値や糖尿病有病状態との関連を明らかにする事を目的とし、さらに診療録(レセプト)情報を活用した、より精度の高いスタチンの種類や用量を考慮した解析を行う事が目的である。
これまではベースラインデータを使用していたが、それでは診療録(レセプト)情報が一部の期間に限られる。そのため、今後の研究の推進方策としてベースラインデータだけではなく、診療録(レセプト)情報のある2015年4月以降のフォローアップのデータも用いて精度を高めたスタチン服用による代謝変化や代謝変化を示すバイオマーカー、副作用発現に繋がるバイオマーカーを検討を行う計画である。
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Research Products
(1 results)