2020 Fiscal Year Annual Research Report
スタチン使用による糖尿病発症リスクに関するメタボローム疫学研究
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19K21458
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松元 美奈子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00822561)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域在住者コホート / レセプトデータ / メタボローム / スタチン / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「山形県鶴岡市の地域在住者コホート」のデータを用いて、スタチン服薬と血漿中メタボローム解析による網羅的代謝物および臨床検査値や糖尿病有病状態との関連を明らかにする事が目的である。実施に際し、コホートデータ(人間ドック型健診・本コホート独自の検査・自己記入式質問紙による生活習慣の情報)と、診療録(レセプト)情報を活用した薬剤処方情報データベース(DB)を構築した。更に、本研究で構築したDBを活用して、自己記入式質問紙で得られた服薬情報のバリデーション研究について論文を作成し公表した。
最終年度の成果:対象者をスタチン服薬者かつ正常高値・境界型糖尿病の有病者に限定し、集団をスタチン強度別に2群(高強度スタチン服薬群/低強度スタチン服薬群)に分類する事で、スタチン服薬と血漿中メタボロームの関連を検討した。本研究は、2群を以下の項目でマッチング(年齢、性別、空腹時血糖値、TC、LDL-C、ALT、AST、T-Bil、ACE阻害薬服薬の有無)、多変量回帰分析を行う事で、スタチン強度による血漿中メタボローム変化を精度高く観察する事を可能とした。結果、高強度スタチン服薬群は低強度スタチン服薬群に比べてα-ケトグルタル酸の低下が観察され、正常高値・境界型糖尿病有病者が高強度スタチン服薬を継続した場合に生じ得る、糖尿病発症の機序解明に貢献する可能性が示唆された。
研究期間全体の成果:脂質異常症治療服薬者のうち、約77%のスタチン服薬が把握され、更に薬剤非服薬かつLDL-Cho≧140 ㎎/dLの群に比べて、糖代謝異常への移行リスクが高い事が検査値より観察された。また、その中でもスタチン服薬は強度により糖尿病発症と関連する可能性があり、これは血漿中メタボロームの変化からも支持されたものの、アミノ酸の観察に限定されている事、そして本研究は対象者の人数が少ない事より今後の更なる研究が望まれる。
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Research Products
(2 results)