2018 Fiscal Year Annual Research Report
日本人のゲノムデータを活用した正則化回帰モデルによる慢性腎臓病の予測モデル構築
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18H06380
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
藤井 亮輔 藤田医科大学, 医療科学部, 助教 (60823846)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 社会医学 / ゲノム疫学 / 正則化回帰 / 慢性腎臓病 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、慢性腎臓病(CKD)の患者数は日本で約1,330万人に達していると推定されている。特にCKDを経て末期腎不全(ESRD)を発症した場合、人工透析による治療を要し、医療経済や個人のQOLにも大きな影響を与えるため、CKDの高リスク者を早期発見し、その進行を妨げることは、予防医学的な観点からも重要である。近年、ヒトの遺伝子と疾患との関連を網羅的に解析する研究手法(ゲノムワイド関連解析:GWAS)で同定された遺伝子変異を利用した疾患の予測モデルを構築する研究が盛んに行われている。しかし、現時点では、1)予測能が期待以上に改善しない、2)回帰係数の解釈が難しいなどの問題点が挙げられている。そこで、本研究では、大規模ゲノムコホート研究で得られた個人のゲノム情報、検査値および生活習慣データに、正則化回帰モデルと呼ばれる統計手法を適用することで、「解釈が容易かつ精度の高い」CKD予測モデルを日本人集団で構築することを目的としている。 平成30年度は、質の低い遺伝的多型などを除外後、約12,000名の日本人および700万個のSNPsを対象としてモデルの構築を行った。アウトカムは、腎機能の指標である推定糸球体濾過量(eGFR)とした。モデルの性能評価には、二乗平均平方根誤差(RMSE)および実測値と推定値との回帰係数を用い、線形回帰と呼ばれる一般的な手法との性能を比較した。その結果、正則化回帰モデルである2つの手法(ラッソ回帰、エラスティック・ネット)では、従来用いられる線形回帰モデルよりも少ない変数で、線形回帰モデルよりも性能が改善されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象者のゲノムデータを用いて、腎機能を推定する正則化回帰のモデル(リッジ回帰、ラッソ回帰、エラスティック・ネット)について予定通り解析を実施し、その精度についても評価が完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、我々は、3つの正則化回帰モデル(リッジ回帰、ラッソ回帰、エラスティック・ネット)による予測モデルを構築しているが、今後はその他の正則化回帰モデルについてもその精度を検証していく予定である。
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