2019 Fiscal Year Annual Research Report
日本の看護の魅力再考ーオーストラリアに国際移動する看護師の決断要因
Project/Area Number |
19K21463
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
那須 潤子 京都先端科学大学, 健康医療学部, 講師 (70554898)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本人看護師 / 国際移動 / オーストラリア |
Outline of Annual Research Achievements |
オーストラリアは現在も積極的に外国人を受け入れる先進国の1つである。2001年から2011年に入国した日本または韓国出身の看護師は944人であり、過去20年間に永住ビザまたは労働ビザで入国した日本人は300名を超える。多くの日本人看護師が存在すると考えられるが、詳細は明らかではない。本研究では、日本人看護師がオーストラリアに国際移動する意思決定要因を明らかにすることを目的に、オーストラリアのシドニー、メルボルンを拠点とした資料収集及びウェブ調査を実施した。 結果、50名の日本人看護師より回答を得た。日本国籍および日本の看護師免許を有し、日本で働いた経験がある日本人看護師50名のうち、オーストラリアでの看護師免許取得を目指したのは45名であった。入国前に他国への移動経験を有したのは37名(74%)であり、過去の移動経験が国際移動の要因となったことが示唆された。また、日本人看護師は移動先に特定のネットワークをもたないことも明らかとなった。オーストラリアの看護師免許を取得した日本人看護師が特に重要であるとした項目は、「専門職としての能力向上(88.0%)」である一方、調査時点で重きを置くキャリアアンカーは、オーストラリアの免許保持者、非保持者ともに「生活様式」が最も多く30%以上を占めた。 日本の看護について、オーストラリアと同様、「看護師は自主的に職場を選択している」(70%)が、「職場で自由に発言している」とはいえず(74%)、「医師とのやり取りにおいて専門的立場から発言」できない(82%)と捉えていた。 本研究においては、日本を出てオーストラリアに国際移動した日本人看護師が、日本における人間関係、勤務体制などに疑問を持ち、より良い環境を求めていることが明らかとなった。日本の看護の魅力を高め、未来の人材不足を解消するための看護職の体制整備を行う上で、多くの課題が示された。
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