2018 Fiscal Year Annual Research Report
医学部における研究倫理教育の基盤構築を目指して~現状調査と評価ツールの開発
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18H06399
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
中田 亜希子 東邦大学, 医学部, 助教 (80597857)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 研究倫理教育 / 医学部 / 現状調査 / コンジョイント分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の医学部における研究倫理教育のニーズとゴール設定の把握を目的として、医学部を擁する全82大学を対象にした質問紙調査(本調査)を計画した。ニーズ調査にはコンジョイント分析を用いるため、その事前調査として、学生のうちに学んできた方がよいと考えらえる研究倫理の教育項目を抽出するためのWeb調査を実施した。 事前調査では、Web調査会社に登録する、研究に携わったことがある医療従事者400名を対象として、研究倫理の教育項目を、研究公正、被験者保護、動物実験の倫理の3領域として、eAPRINや国内で報告されている教育項目を参考に、それぞれ11項目、13項目、10項目を提示し、それぞれの教育項目を学ぶべきと考える時期を、臨床実習前~シニア研究者の6段階もしくは学ぶ必要がない、判断がつかないの8選択肢から選択してもらった。有効回答者370名の回答を分析した結果、卒前教育で重視される教育項目上位を把握することができた。具体的には、研究公正領域では盗用、データの取扱い、社会への情報発信となり、被験者保護領域では、研究における個人に関わる情報の取り扱い・守秘義務、生命倫理学の歴史と原則とルール、診療におけるインフォームド・コンセント、動物実験の倫理の領域では、日本の法的枠踏み、動物実験基本方針と自主管理、実験処理の苦痛度検索であることを把握できた(論文投稿中)。 続いて、事前調査の結果を踏まえて、82大学医学部を対象とした現状調査とニーズとゴール設定を把握する本調査を実施した。学事的な内容については学事担当者を対象に、現在行っている研究倫理の授業内容については担当教員を対象に、今後の教育のゴール設定やどの教育項目を重視するかのコンジョイント分析の設問は今後の教育担当者を対象として質問紙を郵送した。本調査は配布・回収を終え、現在集計中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた事前調査および日本の全医学部82大学に対して質問紙を送付するところまで終了している。学事担当者を対象とした現状調査は回答数28(回収率34.1%)、現在研究倫理を担当している教員を対象とした現状調査は回答数23(回収率28.0%)、今後の研究倫理教育を担当する予定の教員を対象とした教育のゴールやニーズの調査は回答数22(回収率26.8%)であった。 一方、倫理教育に関する評価については、国内のシンポジウムなどを通して教育の現状を概ね把握した。研究における倫理的感受性尺度の先行研究については、海外の論文に当たっているが、いまだ体系的な整理がついていない。
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Strategy for Future Research Activity |
国内の82医学部における研究倫理教育の現状調査およびニーズ調査にあたるコンジョイント分析の集計および分析を行う。その後、論文化し、研究成果を社会に還元していく。 倫理的感受性尺度の方は、研究や科学におけるMoral Sensitivity、Ethical sensitivityをキーワードに海外の論文を再度検索していく。研究における倫理的感受性尺度の先行研究が得られたら、翻訳もしくはオリジナルの尺度を開発していくかの方略を決め、研究倫理の専門家の意見を踏まえながら、尺度を作成する。尺度を作成したら、その信頼性と妥当性を検討するための調査を実施する。
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