2020 Fiscal Year Research-status Report
医学部における研究倫理教育の基盤構築を目指して~現状調査と評価ツールの開発
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19K21478
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
中田 亜希子 東邦大学, 医学部, 講師 (80597857)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 研究倫理教育 / 感受性尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年3月には、本邦の医学部82大学を対象とした研究倫理教育の現状調査および今後の研究倫理教育に関するニーズ調査を郵送法で行った(現状調査の有効回答数20大学、ニーズ調査の有効回答数16大学)。 研究倫理教育のゴールとして、明示的に被験者保護(研究対象者保護)に言及していたのは14大学、研究公正に言及していたのは9大学であった。ゴールの内容は、「科学者としての倫理的態度」のような高いものから「研究計画書の作成」のような具体的なものまで、さまざまであった。今回の調査では正確な教育項目を把握することはできなかったが、教育項目は多岐にわたること、多くの大学が4年生までに実施していることを把握することができた。また、講義と事例検討での授業が多く、e-learningを導入している大学もあった。課題としては、研究倫理教育のための人材・教材のニーズや学生のモチベーションの低さなどが挙がっていた。 回答率が低いものの、これらの結果は、日本の医学部における研究倫理教育の現状を示唆しうるものと考え、令和元年11月にアジアの4大学が集う学会でポスター発表を行った。また、その後論文にまとめ、現在海外ジャーナルに投稿中である。 研究における倫理的感受性尺度の作成については、コロナ禍により研究そのものが進捗していない。先行研究を参考に、日本の研究者が遭遇しうる倫理的な課題を含む場面のシナリオを作成し、そのシナリオ内のどこに言及するかで感受性を評価したいと考えている。そのためのシナリオに適した倫理的問題の選定(討論)および回答者の言及ポイントを評価するためのマトリックス表を作成しようと試みているが、いまだ完成していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
論文は投稿を終え、連絡を待っている段階である。倫理的感受性の尺度については、回答者の倫理的感受性の深度をマトリックス表で点数化して評価しようと考えているが、他の研究者や研究協力者と討論をする機会が減り、進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の医学部での研究倫理教育の現状調査に関する投稿への結果をまち、不採択であれば他の論文への投稿を検討する。 尺度開発については、研究協力者とシナリオを完成させる。令和3年秋までに複数の専門家に内容に対する意見をもらう(内容妥当性の担保)。令和3年12月までには、Web調査を用いて、倫理的感受性尺度の信頼性と妥当性を検証する調査を行いたい。
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Causes of Carryover |
英語論文を投稿したものの、その採択の連絡がまだ来ておらず、投稿費等が次年度に持ちこしとなってしまった。採択されれば、論文投稿費や別刷の費用が予想される。もし不採択であれば別のジャーナルに投稿するため、その校正費も加えて必要となる。
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