2018 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical studies for the regaining of electronic device operation focus on cognitive characteristics in Balint syndrome
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18H06404
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
砂川 耕作 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 助教 (60824844)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | バリント症候群 / 電子機器 / 視空間障害 / 視空間ワーキングメモリー / 注視 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代社会では携帯電話やパソコン、銀行ATM、発券機などの電子機器は必要不可欠となっている一方で、高次脳機能障害を呈した症例はこれらの機器を使いこなせず、生活に支障をきたすことが少なくない。われわれの先行研究において、高次脳機能障害を呈した症例の中でも視空間障害を主症状とするバリント症候群を呈した症例は電子機器の数字入力操作の成績が低下することが明らかとなっている。そこで今回、バリント症候群で特徴とされている視空間ワーキングメモリーの低下や非効率な注視といった特性を実証的に検証することで視空間障害を呈した症例に対する代償手段の開発と電子機器使用の促通に繋げることを目的としている。 本研究ではバリント症候群を呈した症例(バリント群)、左半側空間無視を呈した症例(USN群)、記憶障害を呈した症例(記憶群)、健常者(健常群)を対象としている。課題は銀行ATMの番号入力操作をタブレットで施行できるようアプリケーションを開発し、パソコンのディスプレイに映し出された4・7・11桁のランダムの番号をタブレットに入力する課題を施行した。その結果、所要時間や3秒以上操作が止まってしまう停滞数ともに最も成績が不良なのはバリント群で、次いでUSN群、記憶群、健常群であった。停滞を質的に分析するとバリント群は他の群と比較してタブレット上のボタンを探索するために停滞が多く生じていた。バリント群の中で軽度の症状を呈する数名に対して注視点の分析を行った結果、タブレット上のボタンを探索する際に注視点の変動が大幅に増加し、非効率的なボタン探索をしていることが明らかとなった。本研究を通して、バリント症候群の特徴である視空間ワーキングメモリーの低下によりボタンの位置関係の再現性が乏しくなる影響で電子機器の数字入力が困難となることが明らかとなった。そのため、位置関係を把握しやすい情報提示の方略が必要と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電子機器操作における課題については、当初、数字入力以外でも「銀行ATMでの振り込み」、「発券機での切符の購入」、「ネットでの買い物」といった実践的な課題をタブレットに再現する予定であったが、資金面の状況により課題の作成に至っていない。また、視空間ワーキングメモリーの影響を検討するためにタブレット上で視空間ワーキングメモリー課題を作成する予定であったが、先述の同理由により作成まで至っていない。 加えて、バリント症候群を呈した症例に対して注視点を分析する予定であったが、注視点を分析するためのアイカメラの使用を開始した後、症例のリクルートが遅れている。バリント症候群を呈した症例の注視点の分析は当初20名を予定していたが、現在5名であり、統計的な分析までは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は数字入力課題を通して注視点の分析を実施しているが、統計的な分析ではなくとも、1症例毎を詳細に分析することでバリント症候群を呈した症例の非効率的な情報探索が明らかとなってきている。また、同症例に対して認知特性を補完する介入手段を検討しており、提示する視覚情報量の軽減の条件においては注視点は効率的に移動した結果となっている。以上のように、まずは1症例ずつ詳細に分析することで電子機器操作時のバリント症候群の認知特性とそれを補完する介入手段の手がかり明らかとなってきている。 また、注視の分析だけでなくとも操作中に3秒以上止まってしまうといった停滞や押し間違いといったエラーに関して質的に分析することでバリント症候群の認知特性が明らかとなってきている。そのため、現在までに収集できたデータを改めて分析することで研究の目的に近づけることが可能であると考えている。
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Research Products
(4 results)