2018 Fiscal Year Annual Research Report
運動による動脈硬化度の軽減に関与するアディポカインの同定と分子機序の解明
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18H06423
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長谷川 夏輝 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (00822850)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | アディポカイン / 動脈硬化 / 脂肪 / 有酸素性トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴う脂肪蓄積の増加は動脈硬化度を増加させることが報告されている。最近、我々は、加齢に伴う局所的な脂肪蓄積は全身の脂肪蓄積以上に心血管疾患の予測に重要である可能性を報告した。また、有酸素性トレーニングは脂肪蓄積を低下させることに伴い、脂肪細胞から分泌される抗動脈硬化作用のあるadiponectinを含めた新規アディポカイン:C1q/Tumor Necrosis Factor Related Proteins (CTRPs) の血中濃度を増加させ、動脈硬化度を低下させることを報告した。しかしながら、全身のどこに蓄積された脂肪から分泌されたものが血中濃度に反映されているのかは不明である。また、有酸素性トレーニングによって脂肪組織からのアディポカイン分泌が亢進していることが、動脈硬化度の低下にどの程度寄与しているかも解明されていない。そこで本研究は、運動によって分泌変動するアディポカインの産生部位の同定と動脈硬化度低下への貢献度を明らかにすることを目的とする。 本研究では、38週齢のSAMP1マウスを有酸素性トレーニング群(AT群:自発的回転車輪運動)および安静対照群(Con群)に分け、12週間後に精巣上体脂肪、肩甲下皮下脂肪、肩甲下褐色脂肪、大動脈血管周囲脂肪を摘出し、アディポカイン遺伝子発現量を測定した。 Con群と比較してAT群の精巣上体脂肪重量は有意に低値を示し(P<0.05)、血管拡張機能はCon群と比較してAT群で有意に改善した(P<0.05)。また、各脂肪組織から複数のアディポカイン遺伝子発現量を測定し、運動により特定の脂肪部位からのアディポカイン遺伝子発現量が増加していることが明らかになった。今後さらなる解析により、運動による動脈硬化度低下に関与するアディポカインの同定と分子機序の解明をする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、有酸素性トレーニングにより全身のどこに蓄積された脂肪から抗動脈硬化作用のあるアディポカインが発現変動するのかを明らかにすることが目的であり、本研究課題から、有酸素性トレーニングにより血管拡張機能の改善とともに特定の脂肪組織から発現変動するアディポカインを複数同定することができたことからも、計画どおりに研究が行われていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
有酸素性トレーニングにより、特定の脂肪部位からのアディポカイン発現量が変化することが明らかとなったことから、今後は計画通り、動物実験により、有酸素性トレーニングによって脂肪組織からのCTRPs 分泌が亢進していることが、動脈硬化度の低下にどの程度寄与しているのかを検討していく。
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Research Products
(4 results)