2019 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外線分光法及び高次多変量解析を用いた運動学習における脳内メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K21500
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
備前 宏紀 関西医療大学, 保健医療学部, 助教 (50828770)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 運動学習 / 近赤外線分光 / NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,運動学習進行時の経時的変化における脳の機能的結合変化を明示することを目的とした. 健常者18名(20.4±3.0歳)を対象に,タブレットパソコンを机の縁に対し60度傾斜させ,タブレットパソコン上に映し出されている星型を前方に設置したパソコンモニター上に投影し,パソコンモニターを見ながらタッチペンにてタブレットパソコンの星型をなぞる課題を実施し,この時の運動学習が進行する過程における脳賦活を近赤外線分光法(near-infrared spectroscopy: NIRS)を用いて計測した.また,関心領域は前頭前野および運動関連皮質とした.NIRSより得られたデータを脳賦活時間の算出およびグラフ理論に基づき脳内ネットワーク解析を実施した.また,運動学習前後での脳領域ごとのクラスター分析を行うことにより,脳領域の活動同期性を検討した. 運動パフォーマンスが上達するにつれ,前頭前野の賦活時間は漸減し,クラスタリング係数,特徴的経路長は小さくなった.しかし運動パフォーマンスがプラトーに達すると一部の前頭前野は再賦活し,クラスタリング係数,特徴的経路長は大きくなった.また,運動学習前後における最も高い媒介中心性を示した領域は運動学習前が左前頭極であり,運動学習後は右前頭極であった.クラスター分析の結果では,運動学習前は5つのクラスターに分類され,運動学習後には2つのクラスターに分類された. 本研究結果から,運動が上達すると前頭前野の賦活は減少し,脳内ネットワーク効率が上昇するが,運動上達がプラトーに達すると脳内ネットワーク効率が低下することが示唆された.また,運動学習において前頭極は重要な機能を果たしていることが示唆された.さらにクラスター分析の結果から,運動学習が進むと円滑に運動を遂行するために脳の各領域が同期して動くことにより脳の効率化が図られたのではないかと示唆された.
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