2019 Fiscal Year Annual Research Report
ケトン食は加齢性骨格筋機能低下に対する新規介入方法となりうるか
Project/Area Number |
19K21515
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
鴻崎 香里奈 日本体育大学, 保健医療学部, 助教 (30739769)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ケトン食 / 骨格筋 / 神経筋接合部 / サルコペニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ケトン食KDが骨格筋およびその支配神経機能低下へもたらす影響を検証することをである。ケトン食は古くから神経系疾患や代謝異常症へ対する治療法として用いられ、日常の食生活に取り入れることも容易である。しかし、加齢による骨格筋の機能低下に対してケトン食がもたらす効果は解明されていない。そこで骨格筋細胞培養系を用いてケトン体の分子レベルでの作用機序を明らかにするとともに、個体レベルで加齢性筋機能低下への効果を神経、筋の両面から検討することとした。 初年度に生体において適切な介入期間を決定するために、若齢C57BL/6Jマウスを対象として6週間および12週間の食事介入KD(糖質0%,脂質90%,タンパク質10%)または通常食(糖質80%,脂質10%,タンパク質10%)を実施し、代謝応答、骨格筋および神経機能関連シグナルの解析を実施した。主に12週間介入を実施したマウスの骨格筋や神経筋接合部を解析したところ、神経と筋を架橋する 神経筋接合部の形成に寄与するPGC-1αやMuSKタンパクの発現、骨格筋のタンパク質合成関連シグナル、ミトコンドリア関連シグナルは、通常食群と比較して有意な差は確認できなかった。 そこで2019年度(最終年度)では、主に6週間の介入を実施したマウスのサンプル解析を実施し、12週間の介入時と同様のシグナルを解析した。その結果、骨格筋タンパク質合成関連シグナル(mTORC1シグナル)において、通常食群より高値を示すシグナル(p70S6k)を確認した。また、糖負荷試験の結果から、ケトン食介入から6週間目においてKD介入群では血糖値が低値を示したことから、短期間でのケトン食介入が、骨格筋や神経機能低下の抑制に繋がる可能性が明らかとなった。
|