2019 Fiscal Year Research-status Report
自律神経機能安定化による血液透析患者の身体的な機能改善およびQOLの向上
Project/Area Number |
19K21521
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
辻 義弘 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (20825484)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血液透析 / 除水速度 / 自律神経応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「血液透析患者の自律神経機能を安定化させることにより,身体的な機能改善および患者QOLを向上させること」を目的とする.具体的には,自律神経の安定化方法として,患者ごとに最適な除水速度を決定しテーラーメイドな血液透析を行う.最適な除水速度を決定するため,以下の2点を調べた.はじめに透析患者の平均除水速度と死亡率の関係を明らかにするため生存解析と原疾患別に層別解析を行い,後向き観察研究を行った(除水速度の長期的影響).本年度は,透析中の除水による循環血漿量減少に対する自律神経応答を定量評価し,自律神経が最も安定する除水速度を調べた(除水速度の短期的影響).これら長期的影響と短期的影響を用いて患者の最適な除水速度を決定する.また,約700名の血液透析患者を7年間の後ろ向き観察研究から,多変量解析を用いて血液透析患者の死亡に関連する独立した因子を探索した.また,非糖尿病性腎症群(Non-DM群)と糖尿病性腎症群(DM群)のUFRと生存率の関係をそれぞれにおいて評価し,至適除水速度を推定した.HD患者のUFRは非糖尿病性腎症患者で12.07(ml/hr/kg)未満,糖尿病性腎症患者で9.66(ml/hr/kg)未満であることがHD患者の生存率と有意に関連していることが本研究の結果より示唆された.また,糖尿病性腎症患者は非糖尿病性腎症患者と比較してより厳格なUFRの設定が必要であることが示唆された.今後,血液透析患者の死亡に関連する因子を抽出する前年の取組みで得られた検討結果と知見に基づき,計学的に詳細に検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在も得られたデータの解析方法に多くの課題を残している状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き被験者を募集し,データを蓄積し,計学的に詳細に検討する. 得られた結果は各種関連学会で発表し,得られた知見をもとに論文化し公表していくことを目標とする.
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Causes of Carryover |
データ測定やデータ整理として謝金を計上していたが研究代表者自身で行ったため,データ整理補助の謝金を計上しなかった.また,英語論文についての校正費は今年度末までに投稿準備が完了しなかったため計上しなかった.年度がずれての購入となる物品費として使用する予定である.現在準備中の英語論文の英文校正費に支出予定であり,国内外の学会参加費も支出予定である.
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