2018 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ型スパコンにおけるマルチスケール群衆行動解析のフレームワーク構築
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18H06459
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
都築 怜理 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (60822153)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | セル・オートマトン / 群衆シミュレーション / 動的負荷分散 / ネットワーク生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
群衆・避難行動・交通シミュレーションにおいて、人や自動車など自己駆動粒子する移動物体 (以下、オブジェクト) が 2 次元セル・オートマトンの複数の背面セル上に跨る場合に、それらの並進運動と回転運動、及び任意方向の衝突・接近を検出する計算アルゴリズムを開発した。 Manhattan 距離空間となるセル・オートマトンを Euclidean 距離空間へと近づけることが可能になり、セル・オートマトンの欠点のひとつであるジグザグの移動歩行を最小限に抑えることが可能になった。これにより、複雑ジオメトリを有する現実の経路を模擬したシステム上の移動をセル・オートマトンで取り扱うことが可能になった。一方、これらの制御粒子のシミュレーションでは、移動経路に関する情報をオブジェクトに与えることがしばしば必要となる。そのためにセル・オートマトンの背面セル上から経路の代表点を選出してグラフ(ネットワーク構造)を構築することが必要になる。格子細分化による階層四分木のリーフ間の階層の違いを利用して複雑経路に対する中心線グラフを自動的に生成する新しいアルゴリズムを開発した。さらに、ヒルベルト空間充填曲線による動的領域分割アルゴリズムを 2 次元フロア・フィールドモデルに適用して SX-Aurora TSUBASA のホスト・ノード (VH) 上で並列計算をおこない、共有メモリ上での実行性能の向上を確認した。以上により、2 次元平面上の任意の地点に建物を配置した都市部の避難行動シミュレーションが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画内容からさらに発展的段階であるグラフ・ネットワーク構造の自動生成法の開発まで完了することができ、予想以上の成果を得ている。一方、オブジェクト間のミクロ相互作用のモデルに粒子法(離散要素法)を適用する研究項目については次年度へと持越しとなったが、その見通しは良好であり、全体としては順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
歩道橋など立体方向の移動を伴う場合に適用できるようにするため、昨年度開発したアルゴリズムを3次元へと拡張する。3次元化にともない計算負荷が増大するため、ベクトル機を併用して実行するようフレームワークを拡張し、計算機システム全体で計算効率の最適化を図る。移動するオブジェクト間では粒子法 (離散要素法) による接触モデルを導入し、複数の異なる接触モデルに対して同一の解析を行い統計力学的な観点から両者を比較してミクロな相互作用の及ぼす波及効果を明らかにする。なお、補助的な計算環境としてベクトル並列型スーパーコンピュータである SX-ACEシステム(東北大学サイバーサイエンスセンター、大阪大学サイバーメディアセンター、等)の利用も検討している。
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Research Products
(1 results)