2019 Fiscal Year Annual Research Report
Statistical mechanical approach to bounded rationality in game theory
Project/Area Number |
19K21542
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 仁彦 京都大学, 情報学研究科, 助教 (00826571)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 限定合理性 / 寡占 / インサイダー情報 / 繰り返しゲーム / ゼロ行列式戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は限定合理的クールノー寡占ゲームにおける情報取得の効果の解析を行った。二つの企業が同じ財を供給する寡占市場を考える。財の価格が相手企業の生産量にも依存するため、状況はゲーム理論的になる。各企業が合理的に振る舞う場合、ナッシュ均衡点が実現される。一方、各企業がゲームを繰り返し行いながら少しずつ生産量を学習するという限定合理的な場合、あるパラメータ領域ではカオス的な軌道が実現されることが知られている。申請者は、限定合理的ではあるが一方の企業が他方の企業の生産量に関するインサイダー情報を持っている場合にこのダイナミクスがどのような修正を受けるかを理論的に解析した。その結果、情報取得の効果によってカオス的な振る舞いの生じるパラメータ領域が狭くなることがわかった。即ち、カオス的な経済ダイナミクスがインサイダー情報によって安定化されることを示した。本成果はAppl. Math. Comput.誌に出版された。 また、昨年度研究を行なっていた繰り返しゲームにおけるゼロ行列式戦略の数学的性質に関する論文はPLoS ONE誌に掲載が決定した。昨年度からの差分としては、ゼロサムゲームにおいてゼロ行列式戦略が存在する例と存在しない例を具体的に構築できたことがある。また、観測が不完全な繰り返しゲームにおいて、許されているゼロ行列式戦略の空間が完全観測の場合と比べて小さくならない具体例の構築も行えた。このことは、「許されているゼロ行列式戦略の空間が不完全観測に伴って次元削減可能かどうか」という新しい概念にも繋がりうるものであり、引き続き研究を行いたい。
|
Research Products
(7 results)