2019 Fiscal Year Annual Research Report
音環境理解に向けた音声信号の位相・振幅同時復元の理論構築の研究
Project/Area Number |
19K21546
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
若林 佑幸 首都大学東京, システムデザイン研究科, 特任助教 (80826462)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 音声信号復元 / 位相復元 / 音声区間検出 / 振幅位相関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,雑音によって劣化した音声信号から雑音の影響を除去し,真の音声信号を復元する理論の構築とその応用である. 従来より,音声信号の振幅・位相という二つの特徴に基いた復元アルゴリズムを構築するのが一般的である.本研究ではこれら二つの特徴に深い関連があることに着目し,新しい復元理論の構築を行った. 初年度では,時間・周波数領域において振幅と位相が同期するという,全く注目されていなかった従属関係を復元理論に取り組み,新たなアルゴリズム構築を行った.この成果を国内・国際学会で発表した.学会参加費や開催地への旅費に本補助金を利用した.また,国際学会への投稿においては英文校閲機関への依頼を行い,英語論文の品質を向上させた.さらに,これまでに申請者が取り組んだ信号復元アルゴリズムの内容を日本音響学会誌の小特集,同学会の英文誌の招待論文に執筆し,掲載された.応用音響研究会においても招待講演を行うなど評価された. 最終年度では,前年度に行ったものとは別のアプローチにより,音声信号の復元に取り組んだ.従来からよく知られた既存の復元アルゴリズムを拡張することで性能を改善することが可能となった.その評価を行い,成果を前年度と同様国内・国際学会で発表した.本基金を参加費・旅費などに利用した.また,この成果とは別に,音声の振幅と位相の従属関係を音声区間検出処理に応用した.統計的な挙動を考慮し,新たな手法の提案を行った.本成果も国内外の学会において発表した.これら二つの成果それぞれを学術論文としてまとめており,投稿予定である. 今後の展開として,振幅・位相の従属関係を複素数の領域に拡張した復元手法の提案や,他の音響処理分野に従属関係を応用することが挙げられる.
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