2018 Fiscal Year Annual Research Report
人工肺に対する客観的評価指標を用いたガス交換性能の維持管理ガイドラインの策定
Project/Area Number |
18H06485
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
西垣 孝行 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 准教授 (20623408)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 人工肺 / ガスフラッシュ / 結露防止 / 体外式心肺補助装置 / ガス交換性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
体外式心肺補助装置における人工肺のガス交換性能は、ガス相出口付近に発生する結露や血液相から漏れ出す血漿成分などが要因で経時的に劣化し、ある時点で急にデバイス交換が必要になる。しかしガス交換性能のリアルタイムモニターは存在しないため、操作者個人の経験に頼った維持管理を行っているのが現状である。本研究の目的は、客観的な評価指標となる人工肺ガス相入口圧自動記録システムを用いた多施設共同前向き観察研究を実施することで、人工肺の結露対策法や人工肺交換時期などのリスクを可視化し、個人差や施設間格差を無くすための安全性の高い維持管理方法をガイドラインとして示すことである。 (1)具体的な成果は、10施設の共同研究者によりグループを構築し、各施設の臨床現場における体外式心肺補助装置の維持管理方法について、アンケート用紙と装置の種類、構成要素、使用中の写真などを収集し、違いについて分析を行った(第29回日本臨床工学会で発表)。人工肺の結露対策は、温風加温装置を応用している施設が7施設、酸素ガスフラッシュのみ施行している施設が3施設であった。温風加温装置の使い方は、①人工肺ガス相出口に設置するのみ、②ビニルシートで人工肺全体を覆う、③人工肺の一部のみビニルシートで覆うなど多種多様であったことが判明した。客観的な評価指標を用いて人工肺のガス交換性能を評価している施設は2施設であった。 (2)人工肺のガス交換性能について、客観的な評価指標となる人工肺ガス相入口圧自動記録システムを用いた多施設共同前向き観察研究として開始した。施設によって倫理申請に費用が発生するなど倫理申請の手順および様式が異なり、研究準備に時間を要したが、6施設の準備が整った状況である。各施設の観察研究のデータをもとにリスク分析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)10施設の共同研究者によりグループを構築し、各施設の臨床現場における体外式心肺補助装置の維持管理方法について、アンケート用紙と装置の種類、構成要素、使用中の写真などを収集し、違いについて分析を行ったが、各施設の使用方法があまりにも異なるため、アンケートにより分析する施設数を30施設程度まで拡大することを決め、協力者を募集することとした。現在、追加で10施設の研究参加が決まっているが、多少時間を要している。 (2)人工肺のガス交換性能について、客観的な評価指標となる人工肺ガス相入口圧自動記録システムを用いた多施設共同前向き観察研究を開始しているが、各施設に対応した倫理申請や各施設へのデバイスの整備など、研究準備に時間を要している。6施設の準備が整った状況であるため、速やかに各施設の観察研究のデータをもとにしたリスク分析を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)10施設の共同研究者によりグループを構築し、各施設の臨床現場における体外式心肺補助装置の維持管理方法について、アンケート用紙と装置の種類、構成要素、使用中の写真などを収集し、違いについて分析を行ったが、この結果をもとに、速やかに30施設程度まで調査対象を拡大する予定である。またアンケートについては、比較的容易に実施できることから、体外式心肺補助装置の管理責任者である臨床工学技士以外の医師や看護師の意見も収集する予定である。 (2)人工肺のガス交換性能について、客観的な評価指標となる人工肺ガス相入口圧自動記録システムを用いた多施設共同前向き観察研究を開始しており、6施設の準備が整った状況であるが、速やかに他の残り4施設の準備を完了させる方針である。観察研究の客観的なデータをもとに、リスク分析を実施する予定である。 これらと並行し、現状のリスク分析結果を、広く学会発表などで情報発信し、同時に人工肺ガス交換性能管理における問題点を整理し、臨床現場に最適なガス交換性能の維持管理方法の確立を目指す予定である。
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