2018 Fiscal Year Annual Research Report
ケモメトリクス手法を用いた下水由来未知毒性物質群の管理指標の開発
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18H06493
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原 宏江 金沢大学, 地球社会基盤学系, 助教 (70823524)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 未規制化学物質 / Elastic net回帰 / 細胞毒性試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市下水の再利用は,水資源の質の低下および量の枯渇への対策のひとつであるが,下水再利用システムの普及・拡大のためには,個別の化学物質によらず処理水の毒性を包括的に評価することが重要であるとともに,毒性作用の原因物質を迅速に検出する手法の開発が不可欠である。本研究では,広範な水試料に対して水質分析および細胞毒性試験を実施してデータベースを構築し,細胞毒性を決定する水質パラメータをケモメトリクス的手法により探索する。 本年度は,国内3 都市6 ヶ所の下水処理施設において下水試料を採取し,様々な割合で混合することによって計176 の模擬下水試料を作製した。模擬下水試料に対し、ヒト肝癌由来細胞株(HepG2)を用いた細胞毒性試験を実施した。試料及びコントロールとしてMQ 水を培地成分とそれぞれ混合し、最適pH に調整した。本溶液を細胞培養液と置換し、48時間後、MTT アッセイにより細胞生存率を測定した。一方で、pH、電気伝導度(EC)、紫外線吸光度(A254)、DOC、DN、アンモニ ウムイオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン等の各種イオン濃度を測定した。また、3次元励起蛍光分析装置(EEM)により蛍光特性を取得した。以上により、毒性値と水質のデータベースを構築した。 基礎検討として、統計フリーソフトR を用いて、細胞生存率と水質指標の相関分析を行った。細胞毒性と一般的な水質指標との相関を確認した結果,細胞毒性に寄与する水質項目を発見することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学外の共用装置の予約過密のため,一部の水質分析を本年度内に終えることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,EEM 等の網羅的な特性データの回帰分析により,処理場間に見られた細胞毒性の違いを説明しうる水質パラメータを探索する。
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