2019 Fiscal Year Annual Research Report
ケモメトリクス手法を用いた下水由来未知毒性物質群の管理指標の開発
Project/Area Number |
19K21556
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
原 宏江 金沢大学, 地球社会基盤学系, 助教 (70823524)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 未規制化学物質 / 細胞毒性試験 / Elastic net回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市下水の再利用は,水資源の質の低下および量の枯渇への対策のひとつであるが,下水再利用システムの普及・拡大のためには,個別の化学物質によらず処理水の毒性を包括的に評価することが重要であるとともに,毒性作用の原因物質を迅速に検出する手法の開発が不可欠である。本研究では,広範な水試料に対して水質分析および細胞毒性試験を実施してデータベースを構築し,細胞毒性を決定する水質パラメータをケモメトリクス的手法により探索する。 本年度は, これまでに集積した208件のデータセットにElastic net回帰を適用し, 細胞毒性と様々な水質パラメータとの関連性を調べた。細胞毒性の増加に寄与する16個の水質パラメータが推定された。推定された蛍光特性値のうち, 回帰係数の絶対値が最も大きいグループは, 比較的高分子かつ疎水性の(主に塩基性)有機物のピークに由来する領域に出現していた。また, これら蛍光特性値の高い試料は、複数の施設・異なる採水時期において見られたことから, 普遍的な下水成分が細胞毒性に寄与する可能性が示唆された。 以上の結果により、比較的高分子かつ疎水性の有機物が下水由来の細胞毒性に寄与する可能性が示唆された。本研究の成果は,下水処理水中の未知毒性物質群を簡便・迅速に特定しうる管理指標の開発推進に資する基礎的な知見を提供する。もって、下水再利用システムにおける健康リスク低減ならびにシステム管理の効率化に資するものである。
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