2018 Fiscal Year Annual Research Report
自然資源の観光利用における保全及び管理推進策としての利用者負担の評価に関する研究
Project/Area Number |
18H06494
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
加藤 麻理子 信州大学, 全学教育機構, 准教授(特定雇用) (60826957)
|
Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
Keywords | 協働型管理運営 / 地域住民 / 利用者負担 / 資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
自然資源の観光利用における利用と保全の両立を目指すには、自然資源の適切な管理と利用者の満足度を高める魅力的な利用の推進が重要である。ガイド制度等と関連して適切な仕組みを運営することが求められており、本研究では事例調査を通じた推進方策の検討を行う。 自然資源の観光利用における利用者負担やガイド制度等を導入している地域の事例として、世界自然遺産の登録推薦候補地となっている「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の構成地域の一つである沖縄北部やんばる地域を対象とし、文献調査と現地調査による関係者ヒアリング等の事例調査を実施した。 やんばる地域は平成28年に日本で33番目の国立公園として新規指定を受け、世界自然遺産の登録推薦に向けて科学委員会や地域協議会が組織されている。地元関係自治体である沖縄北部の3村(国頭村、大宜味村、東村)と沖縄県(自然保護課、森林管理課、観光振興課)、国機関の環境省那覇自然環境事務所、沖縄森林管理署のほか、地元3村の観光やガイド関係者が主な構成者となり森林ツーリズムの推進に向けた「やんばる3村森林ツーリズム部会」が平成30年度に立ち上げられている。 文献調査と現地調査によるヒアリングは、これらの取組を進める地元自治体、運営やガイド活動を担う団体関係者、周辺の観光関係者等を対象として実施した。当該地域の自然資源の利用状況、これまでの検討状況と課題、運営体制、取組実施の発信内容等について文献調査及び詳細な聞き取りを行った。また、世界遺産登録推薦プロセスにおける新たな観光管理計画等の検討状況についても情報収集を行った。さらに、地域の自然資源の管理や保全に地域住民が主体的に関わる活動である林道パトロール事業に着目し、検討経緯や活動実施状況、これまでの活動成果の整理、効果的な運営方法に関する検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献詳細調査と現地調査によるヒアリングは順調に進捗し、事例調査主対象地のやんばる地域における新たな観光管理計画等の検討状況を含め、地域の自然資源の管理や保全に地域住民が主体的に関わる形での活動実施状況、これまでの活動成果の整理、効果的な運営方法に関する情報収集を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、沖縄北部やんばる地域を主要な対象地とし、文献調査と現地調査による関係者ヒアリング、アンケート調査等の事例調査を行う。特に、来訪者に地域資源の魅力を紹介し案内するガイダンスの役割を担うガイド活動従事者の活動実態、ガイド制度の現状と課題や、自然資源の適切な管理と利用者の満足度を高める魅力的な利用の推進について重要な観点とする。さらに、地域の自然資源の管理や保全に地域住民が主体的に関わる活動に着目し、林道パトロール事業に加えて、民泊事業および、外来種対策の活動であるマングース防除事業の担い手作業員も取り上げ、それらの検討経緯や活動実施状況、これまでの活動成果の整理、効果的な運営方法に関する検討を行う。 さらに、地域住民を主体とした来訪者の受け入れ体制、地域の自然資源の管理体制の運営方法について、やんばる地域の特徴的な自然資源の活用に関する現状や課題を明らかにする。それらを通じて、特に将来的な利用者負担のあり方に関する考察を行う。
|