• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2018 Fiscal Year Annual Research Report

DNA損傷・損傷応答とミトコンドリア活性変化の相関の解明

Research Project

Project/Area Number 18H06501
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionNational Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology

Principal Investigator

神長 輝一  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学領域 次世代量子センサーグループ, 博士研究員(任常) (90825176)

Project Period (FY) 2018-08-24 – 2020-03-31
Keywordsミトコンドリア / X線マイクロビーム
Outline of Annual Research Achievements

生命活動に必須なATP産生の大半を担うミトコンドリアの機能、活性が放射線被ばくによりどのように変化するかを解明することは、放射線生物影響解明を進めるうえで重要な要因である。X線照射時に観察されるミトコンドリア量増加がDNA損傷に由来するのか、あるいはミトコンドリアに損傷が誘発されたことに起因するのかを解明するために、細胞核あるいは細胞質のみへの細胞内部分照射法の確立と、照射後のミトコンドリア量あるいは活性変化を観察する実験系の確立を行った。高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリーBL27BのX線マイクロビーム照射装置を用いて細胞内部分照射を行い、細胞核あるいは細胞質にのみX線照射を行い、JC-1染色とライブセルイメージングを行いミトコンドリア量と活性(ミトコンドリア膜電位)の経時変化を観察した。
その結果、照射数日後に細胞核照射を行った場合にミトコンドリア量が増加し、一方細胞質照射を行った場合には減少することが明らかになった。この時、ミトコンドリア膜電位には照射部位特異的な変化は観察されなかった。今回の結果は過去の研究で明らかにされていたX線照射後のミトコンドリア量増加が細胞核への損傷、つまりDNA損傷により誘発されていたことを示唆していると考えられ、細胞小器官への放射線影響研究を実施する場合に、DNA損傷により誘発される現象とその細胞小器官への損傷により誘発される現象を切り分けて評価することが重要であることを示唆すると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度はヒト正常線維芽細胞に対するX線マイクロビームを用いた細胞内部分照射法と、照射後のミトコンドリア量・活性の評価方法の確立を目指した。X線マイクロビーム照射用プレートに細胞が接着しない問題が生じたが、適切な表面コーティング剤を検討することでこの問題を解決した。また、ミトコンドリア量および活性を評価するための試薬が退色する問題も生じたが、これも染色・観察方法を改善することで解決した。本研究の第一目的である照射部位特異的なミトコンドリアの量および機能変化の経時観察に成功し、照射部位特異的な経時変化を特定し、細胞核照射によりミトコンドリア量が増加する、一方細胞質への照射ではミトコンドリア量が減少することを発見した。照射部位特異的なミトコンドリアへの放射線影響を解明できたことから、研究計画は順調に進捗していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

細胞核照射(DNA損傷)により生じるミトコンドリア量増加とDNA損傷修復の関係を明らかにするためにDNA損傷修復たんぱく質の阻害剤を用いて損傷修復を阻害し、X線照射後のミトコンドリア量の経時変化を観察する。また、核照射後のミトコンドリア量増加のメカニズムの一つとして、細胞周期中のM期をスキップするmitotic skipによる細胞分離が考えられる。この仮説を確認するためにタイムラプスイメージング法を用いた細胞周期とミトコンドリア量の相関関係の解明を試みたい。一方で細胞質照射によりミトコンドリア量が減少した要因としてはミトコンドリアのオートファジーであるマイトファジーによるミトコンドリアの分解が考えられる。この仮説を証明するために、マイトファジーの検出試薬および阻害剤を用いて、実際にマイトファジーが行われていること、およびオートファジーが照射後のミトコンドリア量減少に関与していることを明らかにしていきたい。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] X線マイクロビームと蛍光ナノダイヤモンドを用いた放射線によるミトコンドリアへの影響解明にむけて2018

    • Author(s)
      神長輝一、寺田大紀、藤咲貴大、白川昌宏、五十嵐龍治、横谷明徳
    • Organizer
      日本ミトコンドリア学会 第18回年会

URL: 

Published: 2019-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi