2019 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷・損傷応答とミトコンドリア活性変化の相関の解明
Project/Area Number |
19K21563
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
神長 輝一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学領域, 博士研究員(任常) (90825176)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | X線マイクロビーム / Fucci / ミトコンドリア / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリーBL27Bに設置されているX線マイクロビーム照射装置を用いた細胞部位特異的な照射方法、およびマイクロビーム照射後のミトコンドリア量経時変化の定量方法を確立した。本年度は、さらにX線による照射部位特異的な影響を解明するため、マイクロビーム照射後の細胞内ATP量の経時変化の解明を試みた。 通常のX線照射装置およびX線マイクロビームを用いてBJ-1 h-TERT Fucci細胞にX線6Gyを照射し、ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応を利用した細胞内ATP計測を行った。X線照射装置を用いた場合には、これまでに報告があるように照射数日後に細胞内ATP量の増加が観察された。本研究で使用したBJ-1 h-TERT Fucci細胞は放射線照射により細胞分裂をスキップするmitotic skipが誘発されることが知られており、照射数日後に観察された細胞内ATP量の増加は、mitotic skipが誘発され1細胞あたりのミトコンドリア量が通常よりも増加したことにより生じたと考えられる。X線マイクロビームを用いた場合には議論に十分な精度の結果を得ることができなかった。X線マイクロビームは1細胞ずつ照射を行うため、6Gyの照射には1細胞あたり約30秒を要する。また、照射ステージは大気開放されているため、迅速にマイクロビーム照射を終える必要があり、一度に照射できる細胞は数十個に限られる。しかしながら、この細胞数ではルシフェリン-ルシフェラーゼ反応を用いた細胞内ATP量計測に不十分であり、議論に必要な計測精度を担保することができなかったと考えられる。
|