2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K21566
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三成 寿作 京都大学, iPS細胞研究所, 特定准教授 (60635332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小門 穂 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (20706650)
木村 めぐみ 公益財団法人未来工学研究所, 研究センター, 研究員 (50711579)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 規律 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度においては、ゲノム編集技術や合成生物学を中心に、最先端の生命科学や関連する倫理的・法的課題の動向について俯瞰した。次年度には、主に国内のゲノム情報の規律に関する経緯や最近の動向について資料・情報を収集・整理した。本研究で対象とした規律は、「遺伝子解析研究に付随する倫理問題等に対応するための指針」(旧厚生科学審議会先端医療技術評価部会 平成12年策定)や「ヒトゲノム研究に関する基本原則」(旧科学技術会議生命倫理委員会 平成12年策定)、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(文部科学省・厚生労働省・経済産業省 平成13年策定)等である。 本年度は、ゲノム研究という枠組み(事例)において、行政指針等の約20年間の経緯を再考することにより、3つの主要論点をとりまとめ、論考という形で公表した。主要論点は、それぞれ(1)基本的理念と手続きとの関係性、(2)行政指針の特性、(3)ヒト由来データ・情報をめぐる規範、である。(1)に関しては、科学技術の進展や社会環境の変化により、「手続き」に関する規定が更新され具体化される一方、「基本的理念」に関する規定は軽視され得るため、これらの相互補完性の確保が課題であることを示した。(2)については、本研究で対象とする行政指針と個人情報保護法との関係性に着目し、20年間という時間幅において、異なる理念や実効性を有する規律間の調整が問われ得るという課題を提示した。(3)では、医学領域における研究倫理は、従来、人体に重点が置かれてきた一方、最近では、ヒト由来データ・情報の取り扱いが容易化したことにより、このような研究における規範のあり方が問われているという課題を明示した。このようなゲノム研究の規律に加えて、ゲノム研究とも深く関係する再生医療の規律についても付随的に検討し考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム研究の規律を主軸として国内外の政策的・倫理的な取組みについて検討でき、成果の一部はすでに公表できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度も、本課題に関する文献・ヒアリング調査を継続する。特にフランスを中心に生命倫理に関する規律のあり方を検討する。
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Causes of Carryover |
理由:研究を進めていく上で効率的に研究費を執行したことにより、当初の見積額よりも執行額を少額に抑えられたため。 使用計画:次年度の情報収集等において使用する。
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Research Products
(3 results)