2019 Fiscal Year Research-status Report
地理空間ビッグデータとスパコンを用いた高齢者の生活基盤評価
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19K21578
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 立顕 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (10376387)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 年齢階層別人口 / 空間分布 / マルチフラクタル / 特異性指数 / f-αスペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は,人や店舗・施設に関する時系列地理空間ビッグデータを活用することで,高齢者が居住している地域の生活環境をエビデンスに基づいて全国規模で評価することを研究目的としている.本年度は,国勢調査100mメッシュ推計データと緯度経度・業種コード付き電話帳データを用いて,年齢階層別人口及び業種別店舗・施設の空間分布のデータを整備して分析した. 海外の多くの都市と異なり,日本の多くの都市は周囲を海や山に囲まれており,平野が非常に狭く山岳地帯も多い.そのため,地形は複雑なフラクタル構造をしており,単純な理想的二次元平面とみなすことができない.人や店舗・施設はそのようなフラクタル空間上に居住・立地しているため,日本の人口や店舗・施設数の空間分布は非常に複雑なものになっている. そこで,マルチフラクタルの手法を用いて属性別に人口や店舗・施設数の空間分布を解析し,それぞれの空間分布をf-αスペクトルにより特徴づけた.これにより,注目している地点が周囲と比較してどれくらい密度が異なっているか,密集・過密(点在・過疎)の度合いはどの程度か,密集・過密(点在・過疎)している地点はどれくらい孤立(連続)して分布しているかなどをスペクトルとして一般的かつ詳細に定量化することができた.首都圏においては,生産年齢層の人口分布の特異性指数は広い範囲の値をとり,人口が著しく密集した地点が存在しており,他の年齢層に比べて空間分布の非均一性が強い.一方,高齢者の人口分布の特異性指数は狭い範囲の値をとり,空間分布は均一的になっていることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
人や店舗・施設の空間分布のマルチフラクタル解析は,空間的に高精度なデータを用いることではじめて適切に実行できる分析である.年齢階層・業種の属性情報も活用して,詳細な解析が実施できた.都市空間のマルチフラクタル解析の専門家(UCL)と議論を行い助言を得たことで,的確な解析・解釈手法で実施することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
全国の各都市について,属性別に人口や店舗・施設数の空間分布をf-αスペクトルにより定量化することで,各都市における高齢者の生活基盤を評価する.また,人口や店舗・施設数の空間分布が似たような(異なる)都市はどこかを明らかにし,空間分布の観点から都市を特徴づけることで生活基盤の評価に応用する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で,発表・参加を予定していた国内・国際会議の開催が中止・延期となったため.関連した他の会議での発表・参加,論文投稿に係る経費として次年度に使用する.
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