2020 Fiscal Year Research-status Report
地理空間ビッグデータとスパコンを用いた高齢者の生活基盤評価
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19K21578
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
大西 立顕 立教大学, 人工知能科学研究科, 教授 (10376387)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 医療施設 / 診療圏 / 空間分布 / 医療困難リスク / 年齢階層別人口 / マルチフラクタル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
主に,全国規模の人・店舗・施設に関する時系列地理空間データの整備,医療施設の診療圏内の年齢階級別人口分布とその時空間変化の解析,年齢階層別人口の空間分布に対するマルチフラクタル解析を行った. 高齢者の医療困難リスクを計測するために,日本国内の各地域の医療施設において診療圏内の年齢階級ごとの人口分布の変化と,施設数変化を調べた.2010年と2015年の国勢調査の人口データと,2011年以降の各年の電話帳データベースを使用し,地域毎の人口分布変化と医療施設数変化を定量化した.平日と休日の人口の違い,各医療施設の診療圏の大きさと高齢者人口分布,診療科の違い,都市部と地方の違いに注目して,全国規模で地域毎の特徴を抽出した.診療所半径1㎞圏内の人口分布について年代別に可視化を行った結果,70歳代の高齢者は平日と休日における診療所1㎞圏内の人口分布に大きな差がなく,他の年齢層と異なる傾向を持つことがわかった.都心部に一定数の高齢者が存在することやコロナ渦で都心部の平日の総人口が減ることを想定すると,全体的に見込み患者数が減る一方で高齢者は同様の比率では減少しないため,高齢者への配慮の重要性を明らかにした. マルチフラクタル解析を用いることで,都市や自治体といった恣意的な空間領域の定義をすることなく,自然な形で人口分布の特徴を捉えることができる.高齢者は他の年代とくらべて,人口密度の小さい箇所の分布の仕方が均一的になっており,一方で,人口密度の大きい箇所の個数は少ないことを定量的に明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地理空間ビッグデータを活用することで,高齢者の医療困難リスクの計測を実施し,高齢者の生活基盤の評価につながる成果が出てきている.
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者の医療困難リスクの計測について,地域毎に診療所からの距離の最適な値を定義し,地域の特徴についてさらに考察を深める. また,新型コロナウイルス関連の倒産が生活環境に与える影響を調べる.
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Causes of Carryover |
高齢者の生活基盤評価において,新型コロナウイルスが直接的・間接的に大きな影響を及ぼすため,それを考慮した解析を行うための研究計画の再構築を行った. 新型コロナの影響で倒産した店舗・施設が生活基盤に与える影響を評価する解析に必要となる経費として使用する計画である.
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